おそけれど
「三郎」
「ん?」
「お前に僕の秘密の場所、おしえてあげる」
「…ほう、ずいぶん突然だが、それは興味深いね」
君の言葉にどきん、と胸が鳴ったのは君には気付かれていない。
私の手を取って笑う君の笑顔に、また胸が鳴る。
「お前にだけだよ、誰にも言っちゃダメだからね」
人差し指を立てて唇に当てる君に、私も思わず笑った。
明らかにわざと昔をなぞる動作。君は覚えているのか、あのときのこと!
「…うん、わかった。誰にも言わないよ」
私だってひとかけらも忘れちゃいないよと言うかわりに、あのとき君が言った言葉をなぞる。
そして誓いの人差し指。
風のように駆けだす君に手を引かれる。
デジャヴュのようだ。
君と走りながら、私は信じてもいない神に心の中で叫んだ。
神様!
やっと!やっと私は彼の親友になりえたのですね?
遅すぎると不平を言っても許されるでしょうか、
でも、ああ、眩暈がする、なんという幸せか!
…たとえあの日から長い長い日々が…ほぼ4年が、経過していようともだ!
待ち人、遅けれど来る