二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

シザーハンズの腕の中

INDEX|1ページ/3ページ|

次のページ
 





「恭弥さん、俺ずっと聞きたかったんですけど」
「なに」
「俺の髪、弄って楽しいですか?」
「うん」
…即答された。




















「綱吉の髪は面白い」
というのが、恭弥さんの理由らしい。
「上の方はよく跳ねてるのに、肩から下はストレートなんて珍しいじゃない」
「たぶんストレートなのは重みで落ちてるだけだと思います…」
「それに、縺れや傷みが殆ど無い。この長さでこれって殆ど奇跡的だよね、どれだけ髪に栄養行き渡らせてるの」
「それ褒めてるんですか貶してるんですか」
「さあね」
ドン・ボンゴレの名を継いだ頃から伸ばし始めた髪は、この歳になるとずいぶんな長さになった。そろそろ腰の方までいくんじゃないだろうか。
夏場は暑いので正直切ってしまいたいと思うこともあるけど、そこはそれ、それを補ってあまりある特典が付いてくるから我慢も出来る。
こうして二人で逢ったときには、黄楊の櫛(ブラシではなく、正しく『櫛』なのだ)で丁寧に髪を梳って貰えるし。
恭弥さんの機嫌がよければ、洗って貰えちゃったりもする。
そしてなにより。
「───だいぶ伸びたね。毛先だけ切ろうか」
さらに機嫌がよければ、手ずから髪を切りそろえてくださるのだ。






毛先だけだからという理由で、俺は切った髪を受け止めるケープを被ることもなく、床に新聞紙を敷くこともなく、寝起きのままの格好で鏡台の前に座らされた。
下着のパンツにちょっと大きめのシャツ一枚という格好はこの時期端から見れば実に寒そうだが、部屋に入っている暖房のおかげであまりそれは感じられない。
恭弥さんだって上半身裸にスラックス、なんて格好だし、どっこいどっこいだろう。
何故俺がサイズの合わないシャツを着ているのかというと、俺が着ていたシャツがくしゃくしゃになってシーツの波のどこかで丸まってしまっているからだ。
だから俺が恭弥さんの着ていたシャツを拝借しているというわけで。
因みに昨夜何があったのかは聞かないでやって欲しい。もう何だかんだで数え切れないくらいそういうことはしているが、改めて言葉にするとなるとやはり照れる。
「鋏」
一言命令されて、俺は鏡台の引き出しから2種類の鋏を取り出す。
「どうぞ」
なんで俺の部屋に俺が使わない美容鋏が揃えて置いてあるのかはもう考えないことにしている。
俺がふたつの鋏を両手で恭しく捧げ持つと恭弥さんは素っ気なく取り上げて、梳き鋏───正確にはセニング鋏と呼ぶらしい───をベルトの穴に通して固定した。
先に普通の鋏で切って、あとから梳いて整えてくれるようだ。
長い手が、俺の座っている椅子の傍にあったダストボックスを取り上げて、『雲雀恭弥のにわか美容室』が開店する。