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空の境界~未来への軌跡~2

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〜未来への布石〜


「あなた、ほどの人が何故私ごとき、小娘をお呼びになるのか、不可解なのですが?」

ここは、冬木市にある喫茶店。若手の凄腕魔術師「赤い悪魔」とイギリスで呼ばれている「遠坂凛(とおさかりん)」御用達の喫茶店だ。
「遠坂凛」は由緒正しい魔術師遠坂家の女頭首であり、先に冬木市で行われた大戦の生き残りでもある。

「たいした用じゃないんだが、お前さん位しか頼れツテが無くてね。」

タバコをふかしているが、彼女より年上なのは一目りょうぜんなのだが、対等な関係であるかの用に、話しているのは、「蒼崎棟子」である。

「貴方程の人が私を頼るなんて、「地球温暖化現象を止める。」くらいの、奇跡でも起きそうですわね。」
「まあな、下手をしたら協会の「封印部隊」が一個師団でやって来る危険性もあるからな。」

事実、魔術師達が、結成している協会は棟子を「封印指定」いうなれば、指名手配犯扱いをしていた。方や、遠坂凛は冬木市で行われた戦いに置いて、協会にカシを作り上手く立ち回っていたのと、彼女が「遠坂家の女頭首」であることから、同じく「封印指定」の、魔術師「見習い」を側に置いている事を黙認されていた。

「で、早速用件の方を伺いましょう。」
「そうだな。」

棟子は、今まで吸っていたタバコを灰皿で押し消すと、神妙な面持ちで遠坂稟を見やった。

「実は、私の不肖の弟子がいる事は、知っているな。」
「ええ、「偽神の書」の一件は、一時期ロンドンでも噂になりましたから。」

「蒼崎棟子」と同じく封印指定で「礼園女学園」で「集団放火自殺未遂事件」に関与したらしいが協会は死体の一部しか回収できなかった。当人のものと断定しそれに蒼崎棟子も絡んでいる事までは、掴んだが実行犯は、その弟子で一人前とはいえない魔術師と、「荒耶宗蓮」を殺害した程の剣の使い手であるらしい事くらいしか解らなかったということだった。そもそも、「偽神の書」の回収失敗は協会のミスでしか無いので、藪から蛇を出したくはなかったようだ。

「私が、もしもの事があれば、あれの面倒を見てやってほしい。」

遠坂凛の動きが止まった。いくら由緒正しい、魔術師である凛でも許容量がある。ただでさえ、あの大戦を十代の自分が生き残ったことで、協会から睨まれている節がある。

「厚かましい願いだという事は解っている。しかし、本当に頼れるのは、お前さんくらいしか残っていないのだ。」
「「マント」を貰った魔術師の台詞とは思えませんね。」

学園卒業時、もっとも優れた魔術師には、学園からマントが贈られる。そして棟子は、「赤色のマント」を貰っているのだ。
蒼崎棟子にとっては、「青」を望んでいたにもかかわらず「赤」なのだ。その時点で「マント」なんて意味を成さなくなってしまった。

「あんな物で良ければ、依頼料でくれてやるさ。」

その言葉を聞くと、遠坂凛の動きは再び止まった。

「やはり、姉妹で戦いますのね。」

話には聞いていた。「蒼崎家」の継承問題が禍根になっているらしいという話は聞いた事があった。しかし自分にも妹がいた。他家に養女にだされ、その家で酷い目にあい前大戦では、敵味方に別れ戦った妹がいる。そして一人の魔術師見習いの少年に二人は助けられた。この人には、そんな人がいないのだろうかと思った。

「やはりあの噂は、本当だったという事かしら。」
「どの噂かはしらんが、ろくでもないことだろ。」
「家の頭首と言うものになって、片意地を張って私は生きてきましたが、正直十年で百年くらいの苦労がありますわよ。それでも、諦めませんの?」
「当然だ。そのために苦労してきたのだから。」

さっきまでと違い、殺意を帯びた視線だ。正直いくら協会に属する自分でも、彼女と戦うのは避けたかった。
もし、彼女が「魔術師殺し」を行えば、自分にも火の粉が降りかかって来るだろう。
しかしこれは、家というものに縛られている悲しいかな魔術師の性なのだ。その結果自分も、盲黙的に大戦に参加し戦い生き残った。「運」が良かった。「彼」の存在がなければ、自分ごとき小娘では、生き残ることなどできなかったのだから。
彼女のある噂を思い出した。

「そうだ、これを使えば何とかなるかもしれない。」

そう思った。

「魔法学校への入学くらいなら、何とかしてみても構いませんは。」
「それだけでも、ありがたい。」

そして、ある噂を切り出した。

「そういえば、すでに「婚約」の「略式儀式」を行ったのって、本当なのかしら。」

イスから滑り落ちた。どうやら本当らしい。

「どこで、それをきいた。」
「あら、気付いていませんでしたか。あのソロモンの悪魔使いを追っていたのは、うちの弟子だったのですよ。」
「それは知らなかった。」
「お陰で、実戦訓練をやらせそこなってしまいましたが、それで「秋巳大輔(あきみだいすけ)」という人のことが解りました。」

明らかに殺気に変わっていた。でも止めるわけにはいかない。

「大輔をどうする気だ。」
「規則では、彼の事も報告しなければなりませんが正直、貴方と事を構えたくはありませんので、黙っていてあげます。」

正直棟子もあの事件のことも訝しく思っていた。あの後この譲ちゃんが、根回しをしていたことが解り納得した。

「それで、条件はなんだ。」
「あなたに、マイナスになることではありませんは。」

遠坂稟の声の質が変わった。

「「秋巳大輔」を殺すこと。」

殺気が膨らみいつ爆発してもおかしくない状態になった。もしこの空間が「玄室」と呼ばれる如何なる魔法も行うことのできない、空間でなければ間違いなく、「古の彗星落とし」と同じ破壊力を持つ、魔法が飛び出していただろう。

「何故という質問なら、貴方が一番知っているはずですが?」

そして、魔力が引いていった。まず、自分が魔法使いであることが、第三者に知られればそれだけで魔法の精度が落ちてしまう。あの三人で許容がギリギリなのだ。そして、略式での「婚約儀式」とはいえそれは、魔法を守る家なら問題がないが、一般人でそれをやられると、そちらに、「魔法の権限」が移り「大輔」が、「魔法使い」になる恐れがあるのだ。
そればかりか、魔力が「大輔」に流れ込む危険性があった。

「随分お困りのようね。「ロンドンでのあなたのあだ名」は、間違いでしたの?」

(赤錆)それは、彼女が研究を行った実験等を行った評価と言われていた。そして当人が最も忌み嫌うあだ名であることも知っていた。あえて名を言わなかったのは、実力行使をさけるためでもあった。

「ふざけるな」

テーブルをたたきつけた。

「私が、家を継ぎヤツを婿にすれば、問題ないことだろう。」
「果たして、それは可能なのでしょうか。」
「何が言いたい。」
「使い魔を倒された一件も、耳に入っています。そして貴方の友人と同じタイプの能力者を味方につけた事も知っております。その上で「勝てるのか」と聞いておりますの。」

棟子は口を閉ざした。客観的に見ればそう思われても仕方がなかった。

「ま、本当に貴方が存在しなくなっても、彼女の事はロンドンの学校に入学させるよう根回ししておきますから、お安心ください。」