ファム・ファタル【試し読み】
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「そんなの着て、どっか具合悪いの?」
「あーあー、かーいそーに。センセーびしょ濡れだよ」
「早く脱いで、カラダ拭かないと風邪引いちゃうぜ?」
「なんなら、オレ達が手伝ってあげますよ」
「そーそー、俺たち、こう見えても親切ッスから~」
じりじりと囲いが狭まってくる。彼等はほとんどポケットに手を突っ込んだまま、わざといたぶるのに慣れている雰囲気だ。
飢えた獣に囲まれた、怯えた子鹿のような心地がする。咄嗟に鬼の手を構えようとするが、不良とはいえ相手はただの人間の子供だ。コントロールの効かない鬼の手を使うとどうなるかわからない。
両腕にぎゅっと力を込めて胸をかばう。柔らかな乳房が押しつぶされて出来る谷間に、少なくない少年達は喉を鳴らす。
最初にキツい調子で「指導」に現れた時の意志の強そうな眼差しは影を潜め、不安げに揺れる眼差しが劣情を、加虐性を掻き立てる。
犯ってしまおうか。誰からともなくそういう空気が作られていく。どこの誰とも解らない、自称「教師」の女一人を輪姦(まわ)すくらい何でもない――
――続きは「ファム・ファタル」にて
作品名:ファム・ファタル【試し読み】 作家名:さねかずら