グーテ・ライゼ!
「……プロイセン、少々可哀そうではないか?」
「笑いながら言っても説得力ないぜ、フリッツ」
ぼすんと狭いベッドに身を投げ出しながらプロイセンは器用にブーツを脱いで
放る。
「お前と私の国民だろう、大切にしないと」
笑いながら、しかし嗜めるように言うフリードリヒは本当に国王に対しての無
法などと思ってはいないのだろう。まず名乗っていないのだからそれが正しい
し、一晩の宿を借りて食事ももらっておきながら、なんて態度だとプロイセン
自身も思わないでもない。
あの欲をかくところも獲れそうなところからは獲るというプロイセンの国民と
しては由緒ある姿勢だ。
でも、とプロイセンは上半身を起こして胡坐をかき、頬を膨らませた。
「だってあいつ、フリッツをあんた呼ばわりだし指差すし……」
「お前など『お前』呼ばわりじゃないか」
「俺はいいんだよ!……それに……とにかく、無礼過ぎる!気に入らねー!」
口を尖らせる姿は戦場でのそれとは別人かと思わせるほど幼く微笑ましく、フ
リードリヒは可笑しくてたまらない。そして同時にこの無分別な程の慕い方を、
危うく思いながら、それでもその矛先に自分があるのは歓びだった。
向かいのベッドでぷぅと拗ねるプロイセンにおいでおいでと手招きをする。
「ちぇ、犬猫じゃないんだっつーの……」
ぼやきながら隣に腰を下ろすプロイセンの頭を撫でてやるために。
「さぁ、明日はどこに行こうか」
<グーテ・ライゼ!>