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振り返ったプロイセンは腕を組み、高慢に顎をしゃくった。
「そーしたら、許してやる」
笑えと言われて、簡単に笑えるものではない。
振り出しに戻ってしまい、ドイツは口元を笑おうと持ち上げて、一度目と同じように失敗した。
「やっぱ、へったくそだな」
「……上手く、表情に出来ないんだ」
「知ってるよ」
プロイセンは人の悪い笑みを浮かべ、肩を揺らして笑った。
「だが。そこがいい。俺以外に、見せるよ、俺以外にはその仏頂面でいいんだ」
独占欲を露わにされて、複雑な喜びがドイツの胸に湧き上がる。その時、自分がどんな顔をしているのかわからなかったが、プロイセンはすっかり機嫌を直してしまい、ドイツの額にキスをひとつ残し、鼻歌を歌いながらバスルームへと消えていった。
「……兄さん」
プロイセンが消えた後、ドイツはそっと、自分の携帯を開いた。