秘密はどうかしている
「悪戯のためなら男に撫でられても構わないわけだね?」
「人の真剣な悩みをなんかのプレイと間違えた奴にはちょうどいい。最初に言いかけたのだって、どうせあれだろ?四捨五入したら四十だし、とか言いたかったんだろ?」
「いや、そこまでは。いい大人だし、くらいだよ」
「ヒューお前何歳?」
「さんじゅうよん」
「四捨五入して三十か。ふーん」
「どうせおれも来年は仲間入りだよ」
「やだよ、お前なんか仲間入れるの」
「そんなことばっかり言うデイジーがおれに優しくなる方法しってるよ」
「どうやって?」
その問いを思わず口にして、デイジーは内心しまったと思った。ヒューは仕掛けに獲物が掛かったところを見たような満面の笑顔になって、立っているデイジーの足元を腕で掬って抱きとめ、教会の階段に座らせた。
「撫でるより、キスするんだ」
End.
作品名:秘密はどうかしている 作家名:bon