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安心する場所

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安心する場所



まだ日も昇らぬ真夜中、ふと目が覚めた。
眠ってしまってどのくらいたったのだろうか。というか、いつ眠ってしまったのだろうか。
ジャンと愛しあっていた記憶は鮮明に覚えているが、自分がいつ眠ってしまったのかははっきりと思い出せない。
身体は二人の体液で汚れたままのようで、肌がべとつく。シャワーも浴びずに眠ってしまったのだろう。
視線を天井からずらして隣の温もりへと向けると、スースーと寝息をたててジャンが眠っていた。
きっとジャンもジュリオと同じようにそのまま眠ってしまったのだろう。掛け布団がずれて露出した肌が見える。
綺麗な肌に目を奪われ、じっと見ていたい衝動にかられるが、このままにしてしまってジャンが風邪を引いてしまったらいけない。
名残惜しいが掛け布団を引っ張りあげてその肌を隠した。
その小さな衣擦れの音にも気づかず、ジャンは規則正しい寝息をたてて眠っている。それにジュリオは自然と笑みを浮かべた。

「ジャン、さん…」

眠っているジャンを、小さく、小さく呼ぶ。
起こさぬようにという配慮もあるが、けれど瞼に隠れた綺麗な瞳が現れてジュリオを見てくれるのではないかという淡い期待もあった。
しかし、やはりというべきか、ジャンはジュリオのその声では目を覚ます事はなく、眠り続けている。
それでいいはずなのに、少し寂しくてジュリオはまた「ジャンさん…」と声を漏らす。先ほどよりも少し大きな声で。
けれど、やはり反応はなく、返ってくるのはスー、スーと規則正しい寝息のみだ。
次第にジュリオの心に不安が募り、暗い影を落とす。
この幸せな時間は、ジュリオのただの願望なのではないか。逃避なのではないか。本当の自分は今、ボンドーネの屋敷で独り暗い場所にいるのではないか。
そう思いだすとたまらなく不安になり、叫びだしたくなった。カタカタと寒くもないのに震えてくるのは言い知れぬ恐怖のためか。

「ジャンさ…、ジャン…っ」

うわ言の様に口を開きながら、ジャンの端正な顔に手を伸ばす。その指先すらカタカタと震えていた。軽く触れたジャンの頬からじわりと熱を感じる。

「ジャン…っ、ジャン、さ…っ」

ぺたぺたと無遠慮に顔に触れ、鼻筋や頬の形をなぞる様に指先を動かした。ここに、ジュリオの隣にジャンがいるのだと、その温もりに触れて確かめずにはいられなかった。
作品名:安心する場所 作家名:みみや