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人は何時だって(略)出来ない

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 「アル」
 「君はもうちょっとゆっくりしてなよ。俺はゲームの用意をしてくるからさ」

 うつむいた顔は見えない。そして僕がどう声をかけようか迷っている間に彼はゲームの箱をいくつか抱え、テレビのある部屋に歩いて行ってしまった。
 ぽつん、と一人きりになった食卓は、少しさびしい。
 僕はぎゅうっと僕の膝の上に座っていたクマ吉さんを抱きしめた。

 「クマ吉さん・・・」
 「・・・ズルイ奴ダ」
 「そう・・・かな」
 「オ前ジャナイ。アイツガ・・・何デモナイ」

 押し黙ってしまったクマ太郎さんを片手で抱え、僕はカップに少し口をつける。
 本当はわかっているんだ、彼がとっくに世界のヒーローだっていうのは。
 いつだったか忘れてしまったけれど、いつの間にか、僕の知らないうちに、もしかしたら僕の目の前で、彼は世界のヒーローになってしまった。
 その、隣にいたいというのはいけないことなんだろうか。
 君の背中を見るんじゃなくて、隣で一緒の世界を見たいというのはいけないんだろうか。
 仲が良かろうが悪かろうが、世界でただ一人、同じ顔をした僕の兄弟と同じ世界を見ることはいけないんだろうか?
 そういえば先程の兄弟はどうしたんだろう。お兄さんが落ち込んでいたといっていたから、アルが弟を助けたのだろうか。それとも弟の前でお兄さんが格好悪い姿でも見せてしまったんだろうか?
 小さい子だったのかな、と僕は考える。そして思う。
 ねぇ、アル、アルフレッド、僕たちはもう大人だよ。子供なら手を引いてくれる誰かが必要だけれど、僕たちの間にはヒーローも障害物も必要ない。
 苛立つことだってあるし、同じ顔も大嫌いだったこともあるけれど、それでも。
 それでも。

 「でも、なぁ・・・」 

 カタン、とカップを僕は皿の上に置いた。
 でも彼はヒーローだ。世界でたった一人、全てをごっちゃにして攪乱してそして粉砕して打破する皆のヒーロー。
 本当は、わかってるんだ。
 僕にはもう、彼の姿を確認できる自信は、ない。

 
 ぐぅっ


 「え、あ、クマ八郎さん・・・?」

 急にクマ吾郎さんが机の方を向いていた身体を反転させて僕に抱きついてきた。
 あぁ。
 あぁ、あったかい。

 「・・・うん、ありがとう、大丈夫だよ」

 ぽんぽん、と彼の身体を撫でるようにたたきながら僕はいった。

 「まだ、あきらめない。だいじょうぶ」

 ヒーローになるな、なんていわない。
 でも、ヒーローは一人じゃなくていい。ほら、君だって戦隊ものが大好きじゃないか。 
 僕も君みたいな怪力も何もないけれど、もう少し、もう少しヒーローになる手前で待っててくれないかい。
 そして僕がやっと君の隣にたどりついたときに、わんとぅすりー、あんどぅとわで一緒に線を飛び越えよう。
 それで、いつもみたいに「遅すぎるんだよ君は!」って、笑ってくれないかい?
 その日がくるまで、僕も、君のことをゆっくりでも、追いかけるから。
 ああ、でも。



 それが報われない時があるっていうのも、ほんとうは、ぼくはしってて、














[ 人は何時だって幸せに貪欲で先を切って走る君の後姿を追ってはみるが産まれてこのかたずっとインドア派でとおしてきたボクは君の影を掴む事も出来ない ]