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人は何時だって(略)出来ない

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 しばらくクマ三郎さんに正座で説教されているアルフレッドを尻目に僕は彼が持ち込んだお土産をえっそらほいそら彼の車から運んでいた。というかこれ、面倒事を押し付けられてる形になってないかい?なんて疑問が一瞬浮かんだもののまぁいいやと僕はそのまま荷物を運んだ。途中から説教から解放されたアメリカが「とぅーすろーりーすぎるよ!」とやけにスピーディに手伝ってくれたのですぐに終わった。
 そして今、用意していた飲みモノを淹れ、二人で飲んでいた。アルフレッドはコーヒー、僕は今日はシロップティーだ。もちろんソフトドリンクも好きなんだけれど、こういう風に落ち着いて話すときはやっぱりカップに淹れたものを飲みたい。
 あうちっ!と悲鳴を上げるアメリカに落ち着いてのみなよ、といって僕はゆっくりと一口のんだ。

 「それでどうだった?日本は」
 「もうさいっこーにクレイジーだったよ!もちろんいい意味でね!ほらそこにおいただろう、沢山買ってきたんだぞ!キモノにサムライチョンマゲ、ウツルンデス、文房具も君が好きなキュートなものが沢山あったしね!あとお菓子も面白いんだぞ!マッシュルームの山に、ほら!見てくれ!これでポッキーゲームなんていって日本のカップルはいちゃいちゃするらしいんだ!あとグリーンティフレーバーのアイスだろう、それとゲームも買ったんだぞ!これを飲んだら絶対やろう!」
 「うん、わかったよ」

 プライベートでは出不精な僕とは違い仕事でもプライベートでも海外を飛び回っているアルフレッドは、何故か自分の大陸に帰ってくると大量のお土産を持って僕の家にいの一番に現れる。一度だけ何故か聞いたことがあるけれど、「兄弟だからに決まってるじゃないか!」の一言ですぐ納得してしまった。理解はできなかったけど。他にもさっきみたいに何故かいつもより多めに強くハグされるだとかお土産の大半がお揃いだとか色々あるけれど全て先程の一言が返ってきた。納得したけれどあまりわからなかった。

 「そうそう、本田さんは元気だったかい?」
 「ああ!相変わらず元気に盆栽の世話をしながら部屋でパソコンやテレビに向かう毎日を送っていたよ!」
 「・・・よかったね、平和で」
 「・・・あぁ、本当に」

 お互いカップを持ちながらしみじみと前回アルが日本に行った時を思い出す。あのときは完全プライベートで突然「OK、日本にいこう」なんて思い付きの旅行だったからか本田さんに連絡をいれてなかったらしく、家に向かったアメリカが見たのはいつもの少し変わった穏やかな年寄(自称)の姿ではなく、締め切り前のしにそうになっている一人のOTAKUだったという。少し手伝ってほうほうのていで逃げ帰ってきたそのときのアルの姿はまだ目に焼き付いている。ベタで汚れた手で僕をぎぅっとしながら「俺に漫画は向かない」だの「(完璧な日本語で)すいませんごめんなさい許して下さい」だの呪文のように「ホワイト!ホワイト!」と叫んだり呟いたりしていたことから結構なトラウマになっていると思う。よく見るとアルのカップを持つ手が細かく震えていた。これはいけないことをいったかもしれないと反省し、僕は話題を変えた。

 「で?日本では何か面白いことはあったのかい?」
 「もちろんだよ!聞いてくれ兄弟、俺は、初めて!本物のYAKUZAに出会ったんだ!そして、戦ったんだよ!」
 「・・・YAKUZA?」
 「YEAH!ジャパニーズマフィアだよ!」

 目をキラキラさせて興奮状態の兄弟を見て、僕は目をぱちくりとさせた。

 「それは、すごいね。でも大丈夫だったのかい?」
 「Of courseさ!俺と菊だったんだから大丈夫に決まってるじゃないか!」

 確かに、と苦笑いする。存在がチートだと叫ばれるアルだけでも十分なのにある意味本当のラスト・サムライの本田さんもいればYAKUZAなんて目じゃないに違いない。・・・あれ、日本ではじゅーとーほーという法律で刀や銃を持つのが規制されていなかったっけ。国なら大丈夫何だろうか。

 「いやぁやっぱり本場のスモウやカラテ、ジュードーは違うね!」

 リアルストリートファイターだったよ菊は!とまたアルフレッドは興奮していい、僕の頭の中で自称只のお爺さんの本田さんが「恐れ入ります、すみません」と頭を下げた。やっぱり彼はお爺さんはお爺さんでもスーパーお爺さんなんだろう、王さんみたいに。でも翌日平気だったのかなぁ。心配だ。

 「あと、YAKUZAの一人と友達になったしね!」
 「へぇ~・・・・へ?やだなぁアル、友達の冗談はトニーやクジラ君ぐらいにしておいてくれよ!」 
 「Hey、本当なんだぞ!今度日本に行く時会いにいくって約束したんだよ!電話とメールアドレスも交換したし!」
 「約束ね・・・。約束といえば、あの虹色の髪の子はどうなったんだい?」
 「うん?彼とはあえなかったけどちゃんど長電話はしたんだぞ!日本国内でね!」

 いやぁ相変わらずヒーローやってるなっていわれちゃってさー、なんて彼は一人照れてご満悦だ。僕は一人複雑な心境で相槌を打つ。

 「あぁ、そうそう!ヒーローといえばさ」
 「もしかして、また誰か助けたのかい?」

 微笑みながら言うと、彼は目を見開いて嬉しそうに笑った。

 「Wow、よくわかったね!うん、今回のは兄弟だったんだ、俺たちみたいに仲のいい!」
 「へぇ。どう、似てた?」
 「う~ん、未だに菊たちの家の人たちは顔を見分けるのに苦労するんだけれどね、彼らは結構できたかな!あと髪質が違ったしね!」
 「僕らも違うじゃないか」

 思わず苦笑すると、うんそうだね、確かにそうだ!と彼は破顔した。
 
 「それでね、お兄さんの方が落ち込んでいたから、俺はいったのさ!」
 「なんて?」
 「まっ簡単にまとめて言うと、YES YOU CAN ってね!」
 「ははっ、じゃあまた一歩近づけたじゃないか。ヒーローに」

 おめでとう、と僕はいったが途端にアルフレッドは不満そうな顔をしてHEY、と僕に声をかけた。

 「あのなぁ、俺はもう世界のヒーローだっていっただろ。君、毎回俺にそんなこといってないかい?」 
 「え?・・・そうかな?」
 「そうだよ!」

 アルフレッドは顔をしかめながら頷く。僕は困ったように笑うことしかできなかった。
 彼は明らかにむっとした顔で、ぐぐっとカップの中身を飲みほした。
 ・・・あ、怒らせたかな。