魅惑の彼氏。
ふわふわと、世界が踊っていた。
見慣れた自分の部屋を眺め回して、折原臨也はちいさく呻き声をあげた。微妙に声が掠れている。けれども肝心なのは、何故声が掠れているのかということよりも、いつどうやって、自分がこの休息用に買ったマンションの一室にやってきたのか、というところだ。
ぼんやりと天井が揺れて見える。ふらつく頭を押さえながら、ゆっくりと体を起こす。起こそうと、した。
「・・・・・?」
腹の上に妙な重みがある。
弱々しい両腕の力では体を支えきれず、臨也はくたりとシーツの波に埋もれた。あたたかいような、つめたいような、肌触りのよいシーツの心地よさに全てを忘れそうになる。
ぱちり、と、臨也は閉じかけた目を開く。
ほんの数瞬天井を眺め、次いで反射のように、勢いよく体を起こした。
細い指の間に、枕下から引き抜いた愛用のナイフを忍ばせて、じっと臨也を見つめるふたつの瞳の前に突きつける。
「・・・・・あんた、誰だ?」
空調の音が静かにひびいていた。部屋の中は涼しいくらいなのに、青白い頬を汗が伝う。
僅かに引きつったきれいな顔をまじまじと眺めて、眉間にナイフを突きつけられた見知らぬ男は、いっそ爽やかなほど、にっこりと場違いな笑みを浮かべた。
臨也の、腹の上から。
ふわふわと、世界が踊っていた。
見慣れた自分の部屋を眺め回して、折原臨也はちいさく呻き声をあげた。微妙に声が掠れている。けれども肝心なのは、何故声が掠れているのかということよりも、いつどうやって、自分がこの休息用に買ったマンションの一室にやってきたのか、というところだ。
ぼんやりと天井が揺れて見える。ふらつく頭を押さえながら、ゆっくりと体を起こす。起こそうと、した。
「・・・・・?」
腹の上に妙な重みがある。
弱々しい両腕の力では体を支えきれず、臨也はくたりとシーツの波に埋もれた。あたたかいような、つめたいような、肌触りのよいシーツの心地よさに全てを忘れそうになる。
ぱちり、と、臨也は閉じかけた目を開く。
ほんの数瞬天井を眺め、次いで反射のように、勢いよく体を起こした。
細い指の間に、枕下から引き抜いた愛用のナイフを忍ばせて、じっと臨也を見つめるふたつの瞳の前に突きつける。
「・・・・・あんた、誰だ?」
空調の音が静かにひびいていた。部屋の中は涼しいくらいなのに、青白い頬を汗が伝う。
僅かに引きつったきれいな顔をまじまじと眺めて、眉間にナイフを突きつけられた見知らぬ男は、いっそ爽やかなほど、にっこりと場違いな笑みを浮かべた。
臨也の、腹の上から。