空気な君(なかったらきっと俺はだめになる)
会議が終わり二人で世間話に高じていたときに、急にぴくり、とアメリカの肩がふるえた。
「アメリカさん?」
「あ、うん、悪い日本。ちょっと探し物をしにいってくるよ」
「探し物、ですか?私もお手伝いしましょうか」
「うーん、有難う、気持ちだけ受け取っておくよ。多分すぐ見つかると思うしね!」
何だったかはちょっと思い出せないだけれど、と彼は笑った。
「フランスー、ふーらーんーすー!」
結局気になるので、といって日本はアメリカについていくと彼が捜していたのはフランスだった。フランスを探していたのだろうか?と日本は首をひねる。すると、意外と近くで声があがった。
「あーはいはい、何だいお兄さんに何か用・・・って、お前らしょうがねぇなぁ。またはぐれたのか」
「ん?何のことだい?」
「いーや何でもない」
華麗に首を横に振って、彼はぱちんとウインクをした。
「で、お前の探し物なら・・・確か、そうだな。ロシアの近くにあると思うぞ?」
「げっ。・・・そうかい、でもしょうがないな。彼、まださっきの会議場にいたよな?じゃあいってくるよ!」
「あっ!ちょっと、アメリカさん・・・あぁ・・・」
フランスにウインク返しをして嵐のようにアメリカは去っていってしまい、日本は一人フランスの側に取り残された。
戸惑ったように、彼はフランスに話しかける。
「あの、フランスさん、アメリカさんの探し物というのは・・・」
「あぁ。あの状態のアメリカを見たのは初めて?」
「ええ。というか、そんなによくあることなんですか?」
「んん、よくあるというか・・・・最近はなかったんだけどな。気になる?」
「・・・はい」
「そう」
じゃあいこうか、と彼は一人で座っていたソファーから立ち上がった。
「え?どこにですか」
「俺いったじゃない。あいつの探し物は今ロシアの近くにあるって」
だから会議場さ、と彼は再びウインクしていった。
作品名:空気な君(なかったらきっと俺はだめになる) 作家名:草葉恭狸