空気な君(なかったらきっと俺はだめになる)
先程まで踊ってお祭り状態だった会議場は幕引きのあと落ち着いていたかに見えたが、今、ブリザードが吹き荒れていた。
「・・・・・・・・・フランスさん」
「・・・・うん、俺も怖いけど、きっとここのどこかにいるはずなんだよ・・・・・」
会議場ではロシアが椅子に座ってにこにこ笑っていて、その隣に立つイギリスと何か言いあいをしている。その横でベラルーシが目を光らせており、そんな場面にアメリカが割り込んだところだった。
「だからさっきからいってるじゃないか!ここにあるはずなんだよ!」
「っていわれてもね、それが何かもわからないんだったら僕らも手伝いようがないよ、アメリカ君」
「そうだぞアメリカ。おら、のけのけ。お前は今度にしといてやる。俺は今日こそこいつと決着つけねぇとすまねぇんだよ・・・!」
「兄さんに近づくな兄さんに近づくな兄さんに近づくな」
「もう、ベラルーシもイギリス君も、皆仲良く、ね?」
「・・・フランスさん、ロシアさんの後ろに何か・・・・・・・」
「うんあれはアメリカが探してるのじゃないからねあれは何か背後霊っていうか守護霊っていうかなんかそんなのだからダメだ日本目を合わしちゃだめだって日本!」
普段以上にうつろな目をする日本をがくがくとフランスがゆする。ごぉっと室内の気温が下がったような気がした。
「というかこの部屋にあるんですよ、ね?アメリカさんの探し物は」
「あるというか、ねぇ・・・。うん、日本、本体を探すのは難しいと思うからさ、白クマを探してくれる?」
「白クマ、ですか」
「うん、白クマ」
フランスは頷き、あんまり入りたくないんだけどねぇと嘯きながらそぉっと扉を開いて日本を手招く。
そんな二人に気付かずアメリカは首をひねり一人納得していた。
「うーんこの部屋にあるのは間違いないんだけどなー。ま、場所がわかればいいか」
「えっちょっと、アメリカぁ!」
「・・・・・・・・・」
しばらく沈黙があり、ん?と誰かが声を出す。
「今のお前じゃなかったよな、アメリカ」
「うん、俺の言葉に何かが返答したんだぞ、ってもしかして幽霊かい?!幽霊なのかい?!」
「えーやだなぁ。でも僕にも聞こえたよ?」
「兄さんには近づかせない兄さんには近づかせない兄さんには近づかせない」
「・・・おい、日本、今の声ってあそこから聞こえたよな?」
「・・・えぇ、多分」
二人でブリザードの中心地を見やる。そして決心したようにうなずき合って、そちらに歩いて行った。
「あーアローアローぼんじゅーるそこの皆さん」
「恐れ入ります、すみません」
「あ?何だくそ髭むしられにきたのか?あと日本そいつから離れろ、ワインの臭いがうつるぞ」
「ワインの匂いとかすごいいいじゃない!でも今はお前の相手してる場合じゃなーいの。うーん多分ここらへんなんだけど・・・まさかなぁ」
きょろきょろとあたりを見回して首をひねるフランスのそでを、くいくいと日本が引っ張った。
「ん、何だ日本」
「あの、白クマを見つけました・・・」
「えっどこに」
「やだなぁ日本君。人のこと指さしちゃダメなんだよ?」
「やっぱりお前か・・・・・」
怯えるようにロシアに日本は人差し指を向け、フランスは片手で頭を抱えてふるふると首を横に振った。
「どうしたんだい?フランス」
「おいアメリカ、ロシアが持ってるもんみてみろ」
「What?なんのことだい・・って、あー!!」
「あっ、お前・・・」
フランスがいうようにロシアを見てみたアメリカとそれにつられたイギリスが声を挙げる。
そしはいつものようにいった。
「君、いっつも誰かが持ってて・・・・えーと、・・誰だっけ」
「そうなんだよ誰かがこいつのこといっつも抱えてたんだよな、あー・・・・・誰だ?」
「・・・・・・・・・・・・・・誰?」
「カ「ロシアピーンク、だよ☆」
「ロシアお前絶対わかってんだろ」
「ふふ、なんのことかな?」
「むっ。兄さんの膝にのってるなんて・・・兄さんに抱えられてるなんて・・・・羨ましい疎ましいぐぬぬぬぬぬぐぎぎぎぎ」
ベラルーシの睨みにも臆せず白クマはロシアの方を見て、そしていった。
「オ前」
「何かな?」
「ソロソロ立ッテヤレ」
「えー・・・でも、ふかふかして気持ちいいのになぁ」
「モウ随分堪能シタダロ。ソロソロノイテヤレ」
「うーん、君が言うならしょうがないかぁ」
そういうとロシアは白クマを机の上にのせて、はい、と掛け声を駆けて立ちあがった。
すると、
作品名:空気な君(なかったらきっと俺はだめになる) 作家名:草葉恭狸