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空気な君(なかったらきっと俺はだめになる)

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 「あっ?!」
 「おっ?!」
 「あぁ・・」
 「あら」

 一瞬驚きの声がでたものの、

 「・・・・・消えたな」
 「消えましたね」
 「はっ?!おい今一瞬そこの椅子に誰かいたよな?」
 「うんいたよ、それで今もいるよ。じゃあ僕はいくよ、ばいばい白クマ君、またね」

 ベアルーシを連れて律儀に白クマと手を振りあい、ブリザードの元もといロシアは会議場を出て行った。
 さて、残された四人(?)は、空白の椅子を前に迷っていた。

 「・・・今でも、いる?」
 「あれかい、もしかして君のお友達かいイギリス?」
 「それだったら俺にも見えるに決まってんだろ馬鹿!」
 「・・・でもさっきの会話とロシアさんの言葉を信じる限りでは、ここに・・・」
 「・・・いるんだろう、ね。じゃあおいてみるか」

 おいてみるって何をですか、と日本が問う前にフランスが白クマを抱えて椅子の上に置いた。
 途端、


 「・・・・・・・・・誰?」
 「はは、は・・・・カナ、ダ、だよ・・・・・」


 「あ―――――――――ッ!」
 「カナダだぁああああああああ」
 「え、あ、カナダさん・・・す、すいません気付かずに数々のご無礼を・・・・・」
 「やーっぱりねぇ」
 「ところでフランスさん」
 「何?」
 「と、いうことはアメリカさんはカナダさんを探していた、と」
 「うん、まぁそういうこと」

 ぎゃいぎゃいと何やら言い合う三人から少し離れ、日本とフランスは目を合わす。
 フランスがやれやれと両腕を掲げて行った。

 「どーもいつからかわかんないけどさ、アメリカのやつカナダと離れがたくなっちゃってね」
 「はぁ・・・」
 「しかも本人がよくカナダの存在を忘れるからやってらんないっての。それでも何か、がないのはアメリカもわかるんだよ。それで、カナダの空気が普通の奴らよりはわかる俺に真っ先に聞いてくるんだけど」
 「カナダさんの存在を忘れてるのに、ですか」
 「そう!いっつも何かが足りないときは俺に聞いたら大概わかるってそこだけ覚えてるんだよね、ほんと」
 「ですが、じゃあ、外交とか」
 「うーんだから、何というか自分がカナダがどこにいるかわかってたら大丈夫なんだよ。あぁ今外交でどこどこの国にいるな、とか休みだから旅行してるんだな、とかね。
 でも同じ部屋とかならまだしも、アメリカが知らない間にカナダが別の部屋にいくだけでもうだめ。それに前カナダに聞いたんだけど、旅行いったあともあいつのところに一番に帰ってくるんだと」
 「・・・そうですか」
 「俺もね、いろいろ理由を考えたんだけど・・・姿かたちが似てるから、とかさ。でも一つ有力なのがあってね。ほら、あいつの国境って境があいまいじゃない?」

 日本は頷いた。たしかそれが彼の影が薄い原因の一つだと前本人から聞いたことがある。

 「で、ちょっと北米大陸の地図を思い浮かべてみてよ。カナダの国境って、大概アメリカと接してるでしょ」
 「・・はい、そうですね、・・・ということは」
 「そう、そこでアメリカとカナダの存在がちょっとだけ混合されてるんじゃないか?って。現実味はないけれど、考えられないこともないでしょ?」
 「・・・・なるほど。ですがそれならカナダさんの方にも影響が出てもおかしくないと思いますが」
 「・・・うん、これはちょっと詳しくはお兄さんの口からは言えないんだけど、心理的にはあるんだよ」
 「そうですか」
 「うん、ごめんね」

 あとこの話もアメリカには秘密だよ?とフランスは人差し指を唇に添えた。
 日本はそれのマネをして、ふふ、と笑う。

 「秘密、ですね」
 「うん、秘密」
 
 二人で、未だぎゃおぎゃおいっている三人をみやる。
 そうしてぎぅっとしめつけんばかりに白クマごとカナダを抱きしめているアメリカを見て、二人で目を見合わせ、微笑んだ。






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