二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

カテリーナ

INDEX|15ページ/16ページ|

次のページ前のページ
 


13.

『兄さん、姉さん。好きな人ができました。』

妹からの手紙には、そう書かれていた。
弟はその手紙を読んで、安心したように、けれど少しさみしそうに、笑った。

「今度は姉さんの番だよ?」

そう言われ、弟は全てわかっているのだと思った。

「そうね。私も、がんばらなきゃ。」

一人残された弟が、

「やっとみんな、自分の道を歩けるんだね。」

と呟いた言葉は、私の耳には届かなかった。

*
考古学の授業では、いつも彼を避けて座っていた。
あれから彼は、私に話しかけなくなった。
私に気を遣ったのかもしれない。
それとも私に嫌気がさしたのかもしれない。
だとしても。
私には言わなきゃいけない言葉があった。

妹は、彼女の兄を愛していた。
盲目的な愛。
義務ではないかと指摘され、揺らいだ。
それは私にとっても同じこと。
弟を、優先させた。
私は彼の告白を逃げることで回避した。
この気持ちが、愛だとか、恋だとか、なんなのかは、わからない。
けれど、彼の笑顔に。あの、太陽みたいな笑顔に、もう一度、会いたかった。

私は彼の座っている席の隣に座って、言った。

「ねえ、筆箱を忘れちゃったんだけど、何か書くものを貸してくれないかしら?」

彼は私の顔を見るとぱあっと明るくなり、笑った。

「おやすい御用さ!」

彼は私に抱きついた。
彼の腕の中で、私は一粒涙を流した。
ああ、これが恋なのか。
「大好き。」
小さな声で、呟いた。

作品名:カテリーナ 作家名:ずーか