I'm in love with you
「っ、誘ってねぇよばかぁっ! 髭!変態!まだ外明るいだろ馬鹿死ね!」
「え、それ夜ならいいってこ」
「死ねえぇぇぇ!」
繰り出した拳を手のひらで受け止められ、そのまま腕を引かれる。勢いづいて前に倒れ込む俺を支えて、食むように口付けられる。フランスの俺の腕を掴んでいない方の腕が腰に回ったのに気づいて、口内を犯す舌の動きに頭がくらくらしてきて、不可抗力にもフランスの背に腕を回そうとして、腕が動かないことに気付いた。
あぁ、そうだ。リボンが結ばれている。
仕方がないから、腰を抱く腕の袖を掴む。
嬉しいだなんて、思ってない。断じて。
ただ、少しの安心と充足感に満たされて、とても気持ちがいい。
「不安にさせたなら、お兄さんもまだまだってところかな」
「だからってキスばっかしてんじゃねぇよ、この色魔」
坊ちゃんたらまたそういうこと言うー、とこつんと額をぶつけられた。
「それじゃあ、紅茶でも飲み直しますか」
「菓子はあるんだろうな」
「ラズベリーのタルト」
「よし」
空になったティーカップを回収して、二人でキッチンに向かう。
繋いだリボンは、まだ解かない。
作品名:I'm in love with you 作家名:瑞貴