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夜があけるまえに

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夜の海はまっくらでなにもかもを飲み込んでしまいそうでした。わたしは砂浜に寝転がってさらにくらい、空を見上げます。降り注いできそうな星だねとは、そういえばかれが言った言葉でした。このまま暗さに溶けてすべてを覚えたまま眠れたらいいのになあとおもいます。あと1時間もしたら地平線からはきれいなオレンジ色のひかりがみれるでしょう。どうせ眠れないのなら、今日の延長線上に、今日を持ってきましょう。あしたは睡眠不足でふらふらしちゃうかなあ。はあ、と吐いた息はおもった以上に熱っぽかったので、わたしはすこし驚いて、そうして、また同じように息をはいてみたけれど、次のは全然熱っぽくなんかありませんでした。夜明けまで、あとすこしです。
作品名:夜があけるまえに 作家名:萩子