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浅井 紫乃
浅井 紫乃
novelistID. 11192
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紅風

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着物をはだけさせるとぴくりと肩が反応し、触れられることに慣れていないことが伺える。

毒を受けた傷口は熱を持って腫れ上がり、変色し始めている。これは早めに処置せねばなるまい。

「ちょーっと荒療治だけど我慢してねー」

するりと懐から苦無を取り出し(忍がまさか本当に丸腰になるものか)、刃先を傷口に当てぐっと力を込めてやる。

「…っ、……」

影が微かに息を詰める。それに構わず更に刃を進め、血液が溢れてきたところで傷口に吸い付けば、ひくんと細い身体が揺れた。

初な反応に僅かに笑みを湛えてから、血液ごと吸い出した毒をそこら辺に吐き出す。

それを何回か繰り返した後、毒消しの軟膏を傷口に塗りこめて清潔な手拭いで覆ってやる。

「とりあえず処置は終わりっと。一応丸薬も飲んどいてね。だぁいじょぶ、何てったってこの俺様が調合した特性の毒消しだしぃ?」

「……」

唇が音もなく言葉を紡いだ。

『何故、助けた』

と。

「…さぁ?俺様にも判んない。いーじゃん、儲け物って事にしときなよ」

強いて言うならば。

あんたに興味が湧いた。

それだけかもしれない。

『礼、を』

「お礼?いいっていいってそんなの気にしないで。別にそれが目的でやった訳じゃないんだし」

次、どこで逢えるかも判らないのに。



…だから。

「だからさ」

つ、とその顎に手を添えて

「これでいいよ」

唇を

『…っ!!』

奪った。


触れるだけの拙いもの。

意外と柔らかいそれの表面をぺろりと舐め、

「ご馳走様」

にこ、と人の善い笑みを浮かべてその影から離れる。

茫然としたままの彼をそのままに、仕事へ戻るべく木の枝に飛び乗った。

「また何処かで、逢えるといいね」






遅れた分を取り戻そうと自然足早になりながらも、笑いが止まらなかった。どうしようもなく心が躍る。


風を、手懐けた。


そんな気分だ。

「俺様ってばらしくない…」

きっとこれで終わりじゃない。

この戦国の世。
あれだけの力を持った者ならば、いつか戦場で相見えることもあるだろう。


その時は。
その時は。


ただ照らすだけの半月を見上げ、高く高く嗤い出したくなった。




end



作品名:紅風 作家名:浅井 紫乃