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ある日常の一コマ 二コマ目

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ジャンがくるりと後ろを振り返ってそう言う。ジャンの背中も大好きだが、顔が見れて嬉しくて、ジュリオは自然と笑みを浮かべてこくりと頷く。

「…わかりました」

ジャンの顔をいつまでも見ていたかったけれど、それをしてしまうとジャンの言葉に反してしまうので、ジュリオはその場から立ち上がって、食器棚の方へと向かう。
最初はほとんど何もなかったここにも、色々増えた。ジャンと一緒に選んだ食器もそうだ。これはジュリオの宝物。食器に限らず、ジャンと一緒に選んで買ったもの全てがそうだ。
それを見るたび、触れるたび、その時のジャンとの記憶が鮮明に思い出せる。

「今日はお前の好きなシチューだぞー」

そう歌うように軽やかに言うジャンに自然と笑みを浮かべて「嬉しいです」と言葉にする。
スープ皿を2枚手にとり、しっかりと持つ。落として割ってしまった事が何度かあるため慎重に持ち、ジャンの元へと運ぶ。

「ジャン、さん。持ってきました…」

そうしてその皿をジャンへと一枚差し出すと、ジャンはグラッツェと言いジュリオの手から皿を受け取る。
その皿に出来上がったばかりのシチューをおたまで掬い流しいれ、それをまたジュリオに手渡す。それを受け取りもう片方の皿をジャンに手渡した。
温かくて美味しそうなクリームシチューの香りが鼻腔をくすぐる。こぼさない様にと慎重に歩きながら、ジュリオはテーブルへと向かった。
すぐにジャンも来て、二人してテーブルへとつくと、頂きますと口にしてスプーンを持つ。
それでとろりとしたシチューを掬い口の中へと流しいれると、ふんわりと優しい味が口内に広がり、美味しくて自然と目尻が下がる。

「美味しい…。ジャンさん、すごく美味しい、です」
「そっか」

その気持ちをそのまま伝えれば、ジャンは嬉しそうににかっと笑うと、その笑顔につられるようにジュリオも笑みを浮かべる。
ジャンと過ごす日々は温かくて幸せで、こんな時間がずっと続けばいいのにとジュリオは思いながら、シチューをもう一口スプーンで掬って口に含んだ。