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だって、なんだか!

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俺を見て、俺を見て、俺を見て振り向いて!
法崎政春必死の願いはついぞ聞き入れられた試しがない。

日に透けてきらきらと輝く茶髪から覗くヘーゼルのまなこ、くるくると絶えず移り変わる喜怒哀楽に連動したあどけない表情。
幼馴染み、というよりは腐れ縁。
上記にあげつらねたパーツパーツを全て足して、いくつかとっておきの魔法をかければ竹治明良の出来上がりだ。
政春がそれを飽きることなく見ていられるのはカレイドスコープに魅入る子どもと同じ原理である。ただし、明良が表情を変えるその理由が、自分に拠れば!の限定つき。
残念ながら政春の視線を現在独占中の(そろそろそのありがたさに気がつけばいいのに!)竹治明良はそんなことには気付かない程度には天然ボケだった。
どれくらい天然かというと、一度たりとも人の手が入ったことのない、それどころか人の足が分け入ったこともない富士の樹海のそのまた奥にひっそりと開けた草地のなかの一本の雑草に劣らぬほどに天然だ。いや天然違いだ。しかしそれほどにある意味天然記念物的存在だ。

起点、矢印、到達点。
その到達点が起点になって、また別のベクトルに矢印。
その到達点が更に別のベクトルの起点だっていうんだから、もうやっていられない!

マンガなら分かりやすく点線で描かれるのであろう明良の視線のその先を、政春は一縷の望みを掛けて辿ることにする。
辿った先には相変わらず慶介相手にぎゃーぎゃーうるさく喚く早太の姿があって、思わず政春は眉間に深く縦ジワを刻んだ。
はいはい幸せなこって。どうせあそこの早慶コンビはお互いしか見ちゃあいないのだ。
いったいあの赤毛元気印基本装備ジャージな貧乏人のなにがいいんだか。慶介といい明良といい、政春には理解しにくい嗜好である。

最初のうちは明良の意思を尊重しよう、だなんて殊勝な心掛けもしてはいたのだが、最近のこれはいかんせん目に余る。
僅か一センチ違いの身長差(これは実際気合いで越えた)を精一杯利用しつつ、政春は必死の平静さを保とうと頑張った。頑張っている時点で負けのようなものだとは気が付かない。
そうして準備万端ととのったところで、ようやく明良に突っ掛かる。

「どこ見てんだよ」

政春の声に弾かれたように振り返った明良は、気まずそうに視線をうろうろと泳がせ始める。
嘘をつけないっていうのは美点かもしれないけど、正直それって裏を返せばただの剣だ、残酷だ!

「だーかーら、なに考えてんのか知らねぇけど、お前のライバルはどう考えたって俺なわけ!世間様に訊いてみろよ、100パーCHARMで纏めてくるから!……まぁ最近Gもくっついてきてんのかもしんないけどよ」
「だからその意味分かんねぇCHARMとかいうのやめろよ」

むっと頬を膨らませる明良の頭をど突きたい衝動に駆られるが堪える。

「意味も分かんねぇのか!?とうとう本物のくるくるパーになったんじゃねぇだろうな、MARCHじゃ俺が最後でおかしいだろうが!」
「それ主張してんのお前んトコだけだろ!?早慶戦を慶介んトコだけが慶早戦っつってるようなもんだろ!?」
「ほぉー明良、慶介に喧嘩売るたぁいい度胸だな」

銀縁眼鏡のハイソサエティー、慶応大学を引き合いに出せば、明良の顔色は目に見えて悪くなった。
ぶんぶんと犬のように首を振りつつ手を横に振って、全身全霊全力の否定が返ってくる。そそそそんな恐れ多い!!

「そ、そもそもそのCHARMだって結局中央大学っつーか、理央の下じゃねぇかよお前!」
「うっせぇな!理央はいいんだよ理央は!!」
「なんだテメェ理央贔屓かよそうかそうか!!」
「ば、違ぇし!」
「っつーか政春にあれこれ言われる意味が分かんねぇよ!な、なんなんだよお前、なにかっつーと俺のこと目の敵にしやがって……!別にいいだろ!?俺がっ、」

聞きたくなかったので実力行使で明良の口を塞ぐことにした。
口を口でなんて度胸はないので、正々堂々愛と勇気の手のひらで。(どうせチキンだよちくしょう!!)

「なんか明良の生暖かい吐息が手のひらに充満すんだけど」
「だったら離せよバカ!!」

言うに事欠いてバカとはなんだバカとは、と言い返しそうになったが、数ヶ月前にも同じ言い争いをして収拾がつかなくなったことを思い出したのでやめておいた。我ながら懸命な判断だ。
早太じゃなくて、俺にしとけって。絶対退屈させないのに。
……なんて言えたら苦労はしない。

「もういい、明良なんか勝手にしろ!」
「はぁ!?おい政春お前なにいきなりキレてんだよ!」

俺を見て、俺を見て、俺を見て、ねぇ振り向いて!
たまにはこうして追いかけて貰わなきゃ、全然割に合わないだろ?
俺を見て俺を見て俺を見て振り向いて!
法崎政春必死の願いはついぞ聞き入れられた試しがない。

日に透けてきらきらと輝く茶髪から覗くヘーゼルのまなこ、くるくると絶えず移り変わる喜怒哀楽に連動したあどけない表情。
幼馴染み、というよりは腐れ縁。
上記にあげつらねたパーツパーツを全て足して、いくつかとっておきの魔法をかければ竹治明良の出来上がりだ。
政春がそれを飽きることなく見ていられるのはカレイドスコープに魅入る子どもと同じ原理である。ただし、明良が表情を変えるその理由が、自分に拠れば!の限定つき。
残念ながら政春の視線を現在独占中の(そろそろそのありがたさに気がつけばいいのに!)竹治明良はそんなことには気付かない程度には天然ボケだった。
どれくらい天然かというと、一度たりとも人の手が入ったことのない、それどころか人の足が分け入ったこともない富士の樹海のそのまた奥にひっそりと開けた草地のなかの一本の雑草に劣らぬほどに天然だ。いや天然違いだ。しかしそれほどにある意味天然記念物的存在だ。

起点、矢印、到達点。
その到達点が起点になって、また別のベクトルに矢印。
その到達点が更に別のベクトルの起点だっていうんだから、もうやっていられない!

マンガなら分かりやすく点線で描かれるのであろう明良の視線のその先を、政春は一縷の望みを掛けて辿ることにする。
辿った先には相変わらず慶介相手にぎゃーぎゃーうるさく喚く早太の姿があって、思わず政春は眉間に深く縦ジワを刻んだ。はいはい幸せなこって、どうせあそこはお互いしか見ちゃいないのだ。
いったいあの赤毛元気印基本装備ジャージな貧乏人のなにがいいんだか。慶介といい明良といい、政春には理解しにくい嗜好である。

最初のうちは明良の意思を尊重しよう、だなんて殊勝な心掛けもしてはいたのだが、最近のこれはいかんせん目に余る。
僅か一センチ違いの身長差(これは実際気合いで越えた)を精一杯利用しつつ、法崎は必死の平静さを保とうと頑張った。頑張っている時点で負けのようなものだとは気が付かない。
そうして準備万端ととのったところで、ようやく明良に突っ掛かる。

「どこ見てんだよ」

政春の声に弾かれたように振り返った明良は、気まずそうに視線をうろうろと泳がせた。
嘘をつけないっていうのは美点かもしれないけど、正直それって裏を返せばただの剣だ、残酷だ!
作品名:だって、なんだか! 作家名:梵ジョー