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ゆめのおわり

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4.

それから、帝人は池袋の町中を駆け巡り、セルティに静雄、そしてサイモン、門田たちなど、
あらゆる知己と連絡をとり、協力をとりつけた。
そして、信頼の置けるダラーズメンバー、黄巾族、罪歌の組織力と臨也の情報網を駆使し、
ほぼ総力戦で、池袋に蔓延った怪人、悪党たちの一掃にあたった。
粟楠会など、池袋の裏側を支配する勢力がその動きを静観していたためもあるだろうが、
呆気ないほどあっさりと、一ヶ月とたたずに、池袋の町はほぼ以前と同じような平静を取り戻した。
もっとも掃討戦の中で、怪我を負ったものも少なからずおり、帝人側も無傷では済まなかった。
また、帝人側が組織的行動を取りだしたのを見て、本格的に衝突する前に、時期悪しと、
あっさりとどこかへ引いて行った正体不明のグループもあり、結局帝人たちは、今回の騒動の全体像を把握できないままだった。
しかし、結果的に、事が起こる前よりも、池袋はずっと平和になったかもしれない。
それは、束の間の平穏であることは間違いないが。

それでも、帝人は満足だった。
随分、随分遠回りをしてしまったけれど。
自分の望むものはすぐ傍にあったのだ。
一番大切なことに最後まで気付けなかった自分の馬鹿さには呆れるしかなく、
迷惑をかけた周りの人々----とりわけ、ずっと心配をかけた杏里には謝っても謝りきれないが、
帝人は今、とても幸せだった。

気持ちのいい晴れ渡った朝、待ち合わせていた場所に、大切な二人の姿がある。
今日は、怪我などを理由にずっと休学していた帝人にとっても、
一度退学届けを出して、もう一度編入した形の正臣にとっても、随分と久しぶりの登校日だった。
記念すべき日なのだから、三人で一緒に登校しようと約束したのだ。
帝人に気付いて手を振る二人に、手を振り返し、
久しぶりに袖を通した制服に身を包んだ帝人は、小走りに駆け寄った。
「おはよう、園原さん、正臣!」
息を弾ませながら声をかけると、口々に返してくれる。
「おはようございます、帝人君。」
「おう、おはよ、帝人!」
二人とも、くすぐったくなるような微笑を浮かべている。
以前は当然のようにあった、けれどとてもかけがえのない大切な光景に、胸の奥が暖かくなるのを感じる。
二人を見つめて、帝人も顔を綻ばせた。

自分が求めていたものは、ここにあった。
作品名:ゆめのおわり 作家名:てん