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みそさざい
みそさざい
novelistID. 10303
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眠れずに君を待っている

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久々知はうんざりしていた。そもそも事の発端はあの危険な生物たちが今日もお出かけしてしまったことからだ。
例に違わず竹谷は召集され早一刻が経つ。月も天を半ば程まで昇り夜も更けきっていた。

「はぁ…」
「盛大な溜め息だね」
「ハチが孫兵に取られて悔しいんだろ」
「取られてねーよ!」
「ムキになっちゃってまあ」
「まぁまぁ二人とも…」

図星をつかれてムキになるのは人間の性だ。確かにあの毒虫好きの下級生に仮にも恋仲という自分を差し置いて行かれてしまうのは久々知としても複雑な思いがあった。

「あーぁ…寝ちまうかな」
「そうだ、そうしろ。そして自分かハチの部屋に帰れ」
「イヤだ」

竹谷が居なくなってから暇を持て余していた久々知は、不破と鉢屋の部屋に来ていた。
例え竹谷が帰ってきて部屋に久々知が居らずとも、検討をつけてこの部屋に来るだろう。そして何よりも友人の貞操を守ることが、今の一番の使命だと久々知は自答していたのだ。

「それにしても竹谷遅いね」
「…あぁ」
「で、今回逃げたのは何なんだ?」
「蠍だってさ」

静かに火花を散らす久々知と鉢屋をよそに、不破は久々知に尋ねる。
久々知はあの下級生が慌てふためいて報告に来た様子を思い返していた。
何時もながら余程大切にしているんだろう、今にも泣きそうな、絶望と焦りに満ちた顔で云われては、嫉妬らしい感情も馬鹿馬鹿しく思えてくる。
久々知は再び大きく溜め息を吐いた。

「このまま見つからなかったら私達も召集されるんじゃないか?」
「…かもな、月が出てるって言っても暗いし蠍は小さい」
「陽が昇ってから上級生総出で探す方が早いかもしれないね」

今も多分生物委員と先生方が大勢で探しているんだろう。それにしてもこんなに時間がかかっているということは、それだけ手こずっていると言うことだ。
不破が小さく欠伸をかみ殺したのを横目に見やり、やはり竹谷の部屋で待とうと久々知は立ち上がる。
と、同時に障子が僅かな音を立てて開いた。

「ここか」
「ハチ、見つかったのか?」
「あぁ、小さい奴だから苦労したけどな」

ニカッと疲れを知らないように笑う竹谷を見て久々知は歩み寄ると、何を思ったのか竹谷の両頬を遠慮なく抓る。

「いへへへ、なんはへーふへ!」

突然のことに竹谷は何もできず痛みを訴えるだけで、不破と鉢屋と言えば何かを察したのか苦笑気味に見守っていた。

「雷蔵、三郎。居座って悪かったな」
「ううん、竹谷が帰ってきて良かったよ」
「これでやっと寝れる」
「あぁ、おやすみ」