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みそさざい
みそさざい
novelistID. 10303
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絆の保証

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凍てつく雨が降り注いでいる。既に忍装束も衣服として役目を果たしていなかった。しかしながら尾浜は走らなければ、追わなければならなかった。

「…はっ……は、ぁっ…」

森の中を一直線に走りながらも視線はくまなく一面を探す。気配一つ逃さずに辺りを探す。鉢屋と不破を。
人間の気配が二つ同時に存在している場所は近くには無かった。あと三町も進めば町に着いてしまう。街中に居ることは考えづらかったから、森や街道を虫一匹逃さず探していた訳だが、尾浜の目にそれらしき二人が留まることは無かった。

「どこにいった…」

雨で視界は頗る悪い。眼球に落ちる雨粒が痛くても、目を瞑っている間に二人を見逃してしまいそうで必死に目を見開いて走る。衣服が体に貼り付く。髪が重く水を滴らせる。不快でしかないこの環境で、二人を見つけるのは酷く困難に感じられた。しかし、尾浜の胸中に広がる一抹の不安と、それを確信させてしまいそうな鉢屋の性格に足を止めることなど出来るはずもなかった。

「…お」

不意に視界の端に小さな洞穴が入り込んできて尾浜は足を其方に向けた。寸分でも間に合えば吉、其処にどちらかしか居なければ凶だとどこか賭事のように思いながら足を速める。心は存外冷静なようだと自身で意外に思った。

「、鉢屋!雷蔵!」
「…勘右衛門」
「無事かっ?雷ぞ…う…」

それを目にした瞬間、この時ばかりは尾浜も自身の勘の良さを呪ったのだった。
何もそれを望んで此処に来たわけではない、と雨音が鳴り響く洞穴の中で言葉を失う。数瞬前までその冷静さを感心していた自我もこればかりは受け入れられないと立ち尽くすことしか出来なかった。

「…馬鹿、者…」


作品名:絆の保証 作家名:みそさざい