恋文
エピローグ
追伸
そういえば、もうあの日から三年以上が過ぎましたね。それなのに、貴女に付けられた傷はまだ残っています。あれから父が転属したのはお知らせしましたが、今度は転勤することになりそうです。海外赴任の可能性もあるようで、僕は不安です。
僕は今でも、あの日のことを思い出します。あの日、どうすれば、今のような不安に晒されずに済んだのでしょうか。貴女が来なければ今頃どうしていたか、そんなふうに思ってしまう自分を諌めなければいけないのですが、難しいです。こんなこと、いくら考えても仕方ありませんよね。僕は僕の行動しか決められないのに。すみません。
もし海外赴任になったら、僕は両親に頼んで日本に残りたいと思っています。そして、長期休暇の際は両親の元で過ごせたら、充実した学生生活になりそうだと思いませんか?
そのときには、もちろん、あのスーツケースを持っていきます。