イングランドの憂鬱
アメリカはテキサスには目をくれず、銃弾の来た方向に銃口を向けた。だが、なぜかアメリカの目の前に既にスコットランドはいて、彼はさっきまでは隠していたらしい銃をまた懐にしまい、咥えていた煙管を手に取り、アメリカが自分に向けた銃口に勢いよく押し当てた。がり、と煙管の雁首が銃口と嫌な音を立てて競り合った。アメリカは思わぬ事態に顔をしかめた。
「ほう、反射神経は悪くはないな」
「超大国、舐めないでくれる?」
アメリカの台詞にスコットランドは、ふ、と口角を上げた。
それから、アメリカの腕の中のイギリスをちらりと一瞥してから、またアメリカに視線を向けた。
「ああ、おまえ、これの何人目の弟だっけな?」
「……っ黙れ!」
アメリカは思わず引き金を引きかけた、が、銃口を煙管で押さえ込まれた状態で発砲すれば危ないことになるだろうことはわかったので、悔しそうに唇を噛みながら銃を下げた。スコットランドは銃口を塞ぐ役目を失った煙管をまた咥えると、ぷは、と煙を吐き出した。
アメリカはイギリスを射抜くように見つめるスコットランドを強く睨みつけながら、部屋を後にした。
アメリカとイギリスが出て行ったドアを一瞥し、スコットランドはくくくと喉の奥で笑った。自分のおもちゃを取られた割には機嫌はそんなに傾いていなかった。
「くされ弟の弟もまたくされ弟ってな」
そう言いながら、スコットランドはイギリスがさきほど落とした星のステッキを拾って、ぽきんと軽く音を立てて折った。
おわり
捏造ばんざい\(^^)/
スコ英、次が…あれば、裏を書きたい。←