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ご機嫌よう皆様！本日は私とクル姉が撮り溜めた愚兄のプライベートを皆様へお披露目いたしたいと存じますわ！！少しずつですが、是非とも我が兄のあられもない姿を見ていただければ幸い！！
隣のクル姉も気合入れております故、どうぞいくばくのお付き合いをお願い致しますわ！！

それでは手始めにこれ・・・え？何クル姉、これは最初からだと濃ゆすぎる？？過激？？
えええー！！だってあの二人はこれぐらいもう当たり前じゃない！別にこれからでも・・・え？
ああ、わ、わかったよう・・・・じゃあ、これからでいいよね？うん、よし。

失礼いたしました。それでは動画も音声もありませんが、手始めにこの写真から！！
・・・・何がなんだかわからないですって？・・ああ、そうですわよね、この頃の私めらは未熟でございました。何せ、まだ年端もいかぬ小学生でございまして、これが記念すべき盗撮・・・いえ、記念撮影第一号でございます。初めて我が家に静雄さんがお越しくださった時の写真でございます。

もしかしたらこの前からもお越し頂いていたのかもしれませんが、私らがこうして写真に収めることができたのはこの時が初めてでございました。・・・これからしばらくして兄は一人暮らしを始めてしまったのですが・・・

え？あ、この写真、どうなっているのかよくわからない？？
ああ、それならば僭越ながら解説させていただきますわ！ええと、まだ昼下がりも早い時間ではありました。お二人してどうやら学校から早々と退散されてきたようでございました。
そして二人、部屋にてなにやら言い争っておりまして、途中からなんだか雰囲気が怪しくなりまして・・・
どう申し上げたら伝わるでしょう。

最初は死ねだの殺すだのと他愛もない言い争いでありました。端から見れば不仲極まりないお二人ですのに、何故一緒にいるのか疑問を抱いたものです。そしてどうにも煮え切らない返事でかわしていた愚兄にブチキレた静雄さんが掴みかかりましたの。
その穏やかではない雰囲気に、私らはカメラを構えて見守っておりましたわ。

静雄さんの力の強さはハンパではございません。もしも愚兄のせいでご機嫌を損ね、家を破壊されたら堪らないとばかりにいざとなれば止める覚悟はしておりました。一応。
しかし、あのすばしっこい兄をあっさり掴み、組み伏してしまわれたのはお見事としか。
まあ、もう手馴れているような感じもありましたけども。

それでも諦めの悪い兄は口汚く罵り続けておりましたわ。どけだの死ねだの痛いだの・・・大声で喚くものですから、わたくしらの存在などもう失念してたのでしょうね。ま、わたくしらもこっそりと家に帰っていましたので気づいてはいなかったかもしれませんが。
けれど、あの静雄さんはさすが羽島幽平様のお兄様。
そっと囁かれたあの低音ボイスは幼心のわたくしらも思わず胸が熱くなったものです。

もちろん、愚兄も例に漏れることなく、そんな声で名前を呼ばれただけであっさり抵抗をやめてしまったではないですか。あんなにも大人しい兄など、寝ている時以外そう見たことはございません。
ガラにもなく顔を赤くして、真っ直ぐ見つめてくる静雄さんから目をそらそうと必死でありました。
二人とも、制服に皺がよろうがどうなろうが知ったことはないようでしたね。

兄の部屋はそう広くはありませんが、ベッドの横の床に押し倒すのですから二人が向かい合うと心無く狭く思えるものです。先ほどまで邪険な空気に包まれていた部屋が、どこか重苦しいものになってまして。
これからどうなるのだろうとクル姉と胸を高鳴らせて見守るばかりでした。

それからお互い沈黙を保っていたのですが、ブチキレて怒っていた静雄さんが短く舌打ちすると兄の短ランを脱がしにかかるじゃないですか！その頃はきっと皺がよるのを気遣って脱がせるのだと思っていましたが、今となれば・・・あらいやだ。

もちろんそんなされれば兄も慌てて止めに入りますわよね。酷くうろたえる兄の様子など、その時初めて目にしたものです。脱がそうとする静雄さんの腕を握り、必死そのものでやめてくれと縋っておりました。
そんなに服を脱ぐだけで嫌なのだろうかと疑問でしたが、そこは黙って見守るだけでしたの。

いい加減にしろと静雄さんは怒っておりました。しかし、愚兄はひたすら拒み、まだ怖いとかどうとか本気で怯えているようでした。あの兄すら恐れることがあるのかと感心しつつ、兄のシャツの裾から覗くやけに生白い脇腹を眺めておりましたわ。あの細さ、そこらの女性のようでもありました。
兄であれ触ってみたくなるような・・・そんな色気がありましたわね

それに静雄さんのあの骨張った大きな掌が添えられれば、一層細さが際立って見えました。こそばゆいのか、兄は思わず体をひくつかせ、静雄さんに再度どけと罵声を浴びせておりました。
散々待たされてるんだから、いい加減諦めろ・・・なんておっしゃってましたわね、静雄さん。

その言葉に兄は迷っているようでありました。日ごろはかなり余裕ぶっている嫌な男そのものでありますが、あんなに弱って追い詰められている様子はそう希少な顔でしたわね。
ですが、静雄さんの怒気迫る気迫に負けず、どうしても今は無理だと拒んでましたの。

それがこのときの写真です。少しブレてますが、ほら、これが静雄さんで、兄で、わき腹で・・・おわかりいただけるでしょうか。え？私らですか？こんなこともあろうかと、前々からベランダにダンボールを設置し、そこに覗き穴を作っていたのですよ。ですので多少視界が狭いのはご容赦いただきたいですわ。

これ以上待たされるなら、無理にでもと静雄さんが兄を押し付けていきますが、それでも兄は首を横に振って嫌だの一点張りです。そこまで困らせるなら了承すればいいのにとつい声をかけたくなってしまいましたが、ぐっとクル姉と二人堪えて見守り続けましたの。シャッターを押すタイミングも逃したくありませんでしたし。

やっぱりいくら覚悟を決めようと怖いものは怖い、とだけしか兄は言いません。
当時は何のことやら、でしたが今ならその時の兄を励ませれましょう。怖いのは一瞬で後は楽になるというのに。本当に当時は意味わからずでしたのよ？・・・信じるも信じないも貴女次第ですけども

服を脱がそうとして、兄の首元に顔を押し付ける静雄さんを、必死でもがいて止める兄が、情けない弱弱しい声で、わたくしらがいつ帰ってくるかもわからないだろうと一喝して静雄さんは止まりました。
もう帰っておりますし、いっそ気にせずお二人は続けていただいてもよかったのですのにねえ。

喧嘩も運動もしてないのに息が上がった二人が、それからゆっくりと距離を測って離れたのはすぐでした。なんとも気まずい空気でしたわねえ・・・見ている側からでもわかるほど。
それでも、なんとなく衣服を整えていた兄が、気まずそうな静雄さんにそっと声をかけておりました。

もっと二人で居れるようになれば、多分大丈夫とか、そんな事を言っておりましたわ。
それからすぐに兄は賃貸マンションを借りて一人暮らしを始めてしまいましたの。いきなりのことでしたからクル姉と二人で必死で止めましたわ。寂しくなる、デバガメできなくなると。