昭和初期郭ものパラレルシズイザAct.5
ごくごく小さく
息をする
「まだ、って・・・。死ぬのか?!」
「そりゃ人は誰でも死ぬさ。」
「手前!!ふざけてんじゃねぇぞ?!」
「僕は事実を言ったまでだよ!ちょっと静雄君、痛いって!」
「・・・シズちゃん・・・煩い・・・。」
「臨也!」
「ホラ。臨也だって煩いってさ。」
「煩ぇ!臨也!手前、生きてるな?!」
「・・・フフ・・・馬鹿じゃ・・・ない?」
死んでたら喋れないよ
と
黒い睫が瞬いて
霞むように黒目が光る
「・・・旦那・・・に」
ケチつけに行ったの?
と
言うだけで呼吸が跳ね上がり
「臨也。今は喋っちゃ駄目だよ」
と
新羅に額を押さえられ
ふっとまた目を閉じて臨也は薄く微笑んだ
そして
乾いた唇が
バカ
と
吐息のように囁いたのを
静雄は確かに聞き取って
バカは
手前だ
と
口の中でだけ呟くと
「退け」と
店の者達を押し退けて
足音も荒く
部屋を
後にした
作品名:昭和初期郭ものパラレルシズイザAct.5 作家名:cotton