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昭和初期郭ものパラレルシズイザAct.4

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この色街を取り仕切る
粟楠会という組織
その要の位置に居る男が
臨也の最初の水揚げ相手




「・・・よぉ。朝からすまねぇな?」
「これは。四木の旦那。お久しゅう。」




からりと開けられた襖の外で
洒落た背広を肩にかけ
ズボンに両手を突っ込んで
中年の男がにこりともせず

「そいつは誰だ」と顎さす向こう
射殺しそうな瞳の男

「あぁ。新入りの用心棒で。静雄、四木の旦那に酒持って来て。」
「酒は要らねぇよ。そうか。アンタ新しい用心棒か。」

ジロリと一瞥
冷淡な目に
静雄の怒気がビリリと上がる

「静雄、もう下がっていいから。」
「下がれ。」

臨也が言うのと同時に言って
中年の男が部屋へと踏み込んで
ピシャリと閉めた襖の外で

一人たたずむ静雄の拳が
ぎりりと音を立てそうに




閉じられた
襖の奥の
赤い部屋




瞼閉じれば
褥の音も
今にも聞こえてきそうでそっと
静雄は立ち去り
後には
誰も




臨也の悲鳴も




聞く者は無く