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さあ、悲劇的なレンアイを

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「まったく、君らのSとMな恋愛事情には呆れるしかできないよ」
「あは、シズちゃんのアイは強烈だよねー」

臨也は今、くるくると左腕に新羅の白い腕で包帯が綺麗に巻かれていく

その下にはコイビトである静雄によって作られた赤紫の痣ができている
今はたぶん、あの中学時代の先輩らしいドレッドヘアと取り立てでもしているだろう

「恋人なのにね・・・はい、完了。あんまりはっちゃけすぎないようにね、静雄にもあんまりやり過ぎないようには注意しておくよ」
「あっは、新羅先生ってばやっさしー!俺、惚れちゃう!」
「うん、惚れても相手しないからね、俺にはセルティがいるから」
「・・・・・・・知ってる」

新羅には既に愛すべき家族となるセルティの心を掴んだ
4歳ごろからの片思いが成就し、20年来の愛を未だ育んでいる
それは中学高校、そして今も交流を続けている臨也も静雄もよく知っていた
だからこそ、静雄も何も言わずに臨也の怪我をココで治療させている

静雄は酷く嫉妬深かった
本来ならば、ココにも行かせたくないのだろうが、怪我は治療しなければなんでもないような傷で大怪我になるかもしれない
だから了承しているようなものだ

既に相手が揺らがない相手だと知っているのだから

臨也はなんとなく静雄の心理を考えながら、くるくると椅子を回して遊んだ
くるくる回る視界では新羅が治療に使った道具を棚に戻している
取扱が危険な薬物や薬品、麻酔や希少な薬品は新羅の部屋にあって、通常の消毒液とかはリビングにあった
それは高校時代からよく静雄や臨也が怪我の治療に訪れるからだ

血みどろの青春

その時代を俺らが生き抜けたのは半分くらいは新羅のおかげだろう
いや、静雄に関しては何もしなくても完治しそうではあるが
今思えば、新羅とはほぼ人生の半分を一緒に過ごしているようなものだ

新羅は中学で出席番号の前後になって、最初から解剖好きと変人のレッテルを張られ、いい子の演技の為に利用してた
でもちょっとへまをして怪我をした時に、何も言わずに応急処置をしてくれて、俺の本性を少し見つけ出した
それから仲良くなって、どちらかと言えばギブアンドテイクみたいな友達関係
俺がどんな非道なことをしても呆れるだけで受け入れてくれた稀有な存在
高校では静雄と顔合わせの仲介をして、毎日の喧嘩の傍観者でなんだかんだ言って怪我を見てくれた
喧嘩ばかりの俺とシズちゃんの間にのらりくらりと入って宥めて、数少ない血のない青春の立役者

卒業して、新羅が闇医者をしていると聞いて看て貰ったり、シズちゃんとのことで相談に乗ってもらったり
うん、本当に俺の人生の半分が埋め尽くされてる気がする

「臨也、なんか嬉しそうだけど、どうかしたの?静雄にでも何かの罠をしかけた?」
「え、俺、嬉しそう?」
「少なくとも俺から見れば、嬉しそう・・・いや楽しそう?だね」

器具を戻した新羅が元々自分で淹れていたコーヒーを含みながら、話しかけている
すでに椅子は臨也が座っているのでカウンターの違う椅子に座っていた

嬉しそう?楽しそう?
確かに懐かしいことを珍しく考えていたけれど、それが、うれしそう?
基本的に自分が嬉しい、楽しいと感じるのは人を貶めて、絶望や後悔に染まった時だ
人間が悩んで苦しんで怯えて追い詰められて考えて考えた結果、自分から泥沼に嵌った瞬間
その愚かさが酷く愛しくて愛しくて、哀れで憐れで、酷く自分を嬉しくさせる、楽しませる
時には違う行動をしてもそれはそれで予想を裏切る感は楽しい
シズちゃんを罠に引っ掛けたり、焦らしたりするのも面白くて楽しい
後で自分が痛くなるのは嫌だけど
なのに、今はただ新羅との交友関係を思い浮かべただけで?
新羅にわかるほど表情を変えて、嬉しそうにしていた?

何故?

作品名:さあ、悲劇的なレンアイを 作家名:灰青