雨のち曇り
二人で帰り道を歩きながら、綱吉はふと疑問に思ったことを思い出した。
聞いてみようか、と考える。
それも雲雀との距離が、今日一日で話し掛けられるくらいに縮まったのを綱吉が感じていたからだ。
雲雀の歩調に合わせ、小走りになりながら綱吉は尋ねた。
「そういえば、ヒバリさん」
「何?」
「傘、持って来なかったんですか?俺が出たときはともかく、ヒバリさんが出たときにはもう降ってたんじゃ…?」
「あぁ、僕は傘ささないから」
「は?」
「動きが制限されて邪魔でしょ。草壁がいるときは勝手にさしかけてくるけど」
「邪魔扱いですかっ!?」
つまり、草壁がいない徒歩のときはいつもずぶ濡れ。
しかも雨くらいでこの人が自分の予定を変えるとは思えなかった。
愛着のある並中の制服は兎も角、スーツを濡らすことに雲雀は躊躇いもしないだろう。
綱吉はここに、雲雀が風邪をこじらせる原因を見たのだった。
END
08.8.9
作品名:雨のち曇り 作家名:加賀屋 藍(※撤退予定)