オチない来神SSSS!!
4。新羅と臨也―β
「君には不幸になって欲しいな」
「本人を目の前にして言う?」
「こっそり言ったら悪口じゃないか!」
にこにこと私は笑う。臨也が微かに口元を引きつらせて僕を見た。
「いや、もう、それって既にさぁ・・・あぁ、もういいや。じゃあね新羅」
「うん」
何となくしょんぼりした様子で臨也は教室を出た。きっと門田君のところにでも報告に行くのだろう。別にいつも一緒に帰ってるわけではないし、それに彼らと一緒にいると恨みを持っている奴らに目をつけられやすい。まぁ一部には既に目をつけられている気がするけれど。まぁいい。私は机から教科書を出してぽん、ぽん、と整理する。
臨也の幸福とは、つまり静雄がこの世からいなくなって、全ての人間が彼に+であれ-であれ関心を持ちそして彼の掌で踊る世界のことなのだろう。
何て、何てつまらない!
私は教科書をつめた鞄をひっつかみ、気分よく教室から出る。本当に彼は欲張りなんだから!俺なんて全ての人間どころかたった一人の人外の一挙一動に身も心も踊らされているというのに!彼は静雄を除く全人類が自分の友達であり恋人だと豪語しているけれども例えば先程の臨也が向かった場所は確実に図書室の筈だ、何故ならこの時間帯にはおそらく門田君が本の貸し借りに立ち寄っているだろうから。静雄なんかに言おうものなら言い出す前から今日の手紙の件でぶっとばされるに違いない。ほら、たったこの学校でさえ彼には友達の愚痴を聞いてくれる人が俺を含め三人しかいないんだ!人間全員が友達という彼が!笑わせてくれるね!
アイツなんて不幸になってしまえばいい、不幸になって、不幸のどん底になって、僕が持っているようなこのトキメキを、色彩に富んだあまりにもカラフルな世界を、歪な友情を、歪んだ恋を知ってしまえばいいのだ!
作品名:オチない来神SSSS!! 作家名:草葉恭狸