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二次創作オールジャンルの短い話のまとめ。(永遠に執筆中)

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ボカロ



『蕩けるまで煮込んで。』帯人/グロ注意



 鍋をかき混ぜるとぐちゃぐちゃと果肉が潰れる音がする。そこに白い砂糖を加えるとなんとも言えない芳醇な香りが漂う。溜まっている水分を吹き飛ばす為に火の温度をあげる。ごぽごぽと音を立てて沸騰する、まるで魔女の料理みたいだと思いながらヘラで鍋をかき回す。
「暑い……」
 なにしろ只今八月の真夏日にドアも窓も全部締め切って大きな鍋を使っているのだ。しかも、換気扇も使用していないので匂いが籠っている。
 なかなか水が飛ばないので砂糖をもっと足す。そうしたらジャムが異様に甘くなってしまうかもしれないけれどさして問題はないだろうとタカをくくって。というかジャムって甘ったるくてなんぼのものだし。
 ぐつぐつ、ぐつぐつ。
 ある程度煮たったので鍋から降ろして瓶に詰める。
 大量に作りすぎてしまったのでお酒が入っているような大柄のものに。
「………………喜んで、くれるかな」
 硝子の表面に残っていた酒のラベルに日付と種類を書き込んで冷蔵庫の横に放置しておく。後で冷えてからいれよう、と。
 それと次になにを作ろうかと悩んだ青年の近くには白に蒼と黄で彩られたコートが落ちていた。
 嫌いな、奴のコート。
 それをつまみ上げるように持ち上げると空色をしたマフラーが覗く。
 なんだかおかしい。だって、
「……………………こいつは、マフラーは絶対に外さない」
 例え野球拳でボロ負けして裸にされかけたとしてもマフラーは最後まで外さないし、お風呂に入っても海に行っても外さないのに家の中でどうして外しているのだろう。
 上から眺める限りアイスで汚したとかいう可能性もないようだし。
 最後に彼を見たのはいつだったのか悩む。が、思い出せない。とりあえず服だけここに散らかっているのは不自然なのでつまむように、なるべく触らないように細心の注意を払いながら畳んで彼の部屋に追いやる事にした。
 不思議な事に自分がつまんだ部分だけ段々と変色を進める。不自然に思いながら手のひらを見ると赤く染まっていた。気付かない内に自傷をしてしまったのだろうと一人ごちながら服を置き、キッチンへと戻る。
「…………ぁ、」
 思い出してしまった。
 丁度冷蔵庫の前にいたので、ラベルを見ると。
「…………××年××月××日……

 KAITO」

 そこには見間違う事のない自分のひしゃげた文字が連なっていた。
「…………………………あっ、あははははははははっ! …………あ、ははは……ははっ」
 笑いがとまらなかった。自分の哄笑と共になるのは家のインターホン。自分の主の帰宅だとわかったので喜び勇んでドアを開ける。
「…………おかえりなさい、ますたー!」