【APH】恋ごころを回す、古い歯車
このふらろいどにのめり込んだ俺は友人である日本とともに、こいつを現実の世界に連れ出してやろうとしていた。それから随分長い年月をかけ、研究に没頭した。
単なる金属の塊の身体ではなく、なるべく人間に近い素体を作るべく、日夜努力が続けたのだ。
そしてそれが今、最新の技術の賜物により、現実化しようとしている。
このふらろいどが、俺だけの物になろうとしている。
現実化するに至り、日本は呆れた顔で何度も、「イギリスさん。それは単なるソフトウェアなのですよ。それでも貴方は?これ?をモニターから外に出したいと思われるのですか?」と俺に尋ねた。
もちろん俺はこう言ってやったさ。
狂ってると思われても構わなかったんだから、堂々とした態度で言いきってやるよ。
だって、モニターにうつつを抜かすよりも、人形に恋をするほうが日本から見てもまっとうに見えるだろう?
しかし問題はそこではなく、やはり俺は形ある存在として、こいつに触れたい、と思っただけだったんだ。
全部、完全に、完璧には分かってもらえない、と十分承知している。
作品名:【APH】恋ごころを回す、古い歯車 作家名:pao