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Nostalgia - hotline square -

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いつものようにマスターである臨也がパソコンのキーボードをたたく。カチャカチャ、一見ただの無機質な音の羅列にしか聞こえないのだが、津軽にとってそれは心地よい音色だった。そんな事を素直に言えば、馬鹿にするか遠ざけるかのどちらかなので、津軽は口を閉ざし、窓辺に腰掛け外を眺めていた。そんな時だった。津軽の頭の奥でカチン、と何かが繋がる音と僅かな痛みがきたのは。
《つがる、つがる》
脳裏に響く声音は、津軽のマスターに酷くよく似た『声』を持つ同族のものだった。その声に反応するように津軽は瞼を静かに閉じる。そうする事でよりいっそう繋がりを身近に感じながら、どこか知らない場所にいる相手へと『声』を送った。
【何?何かいい事あったのか?】
《うん!きょうね!ますたーがおれにねがいことをきいてくれたの!きょうはたなばたっていうんだって!でもそれにひつようなものはないからますたーがかわりにかなえてくれるんだって!》
楽しげに語るサイケのそれに津軽はほんの少し口元を緩めた。回線を通じて聞こえてくる『声』からも彼がどんなに嬉しく思っているのか如実に伝えてくる。彼のマスターは己のマスターとは異なり、機械人形である自分達を『人間』と同等――つまり対等の人として扱うらしい。実際にそうなのかどうかは確証はない。だが、サイケは伝わって来る『声』からでも天真爛漫さを感じさせる。そんな快活さとは正反対の幼い一面も垣間見せる事もあってか妙に庇護欲を掻き立てられる。『声』だけで津軽にそう感じさせてしまうのだから、それを肌身でもって目の当たりにしている彼のマスターも己と同じ、もしくはそれ以上の気持ちになっているに違いない。
(俺のマスターとは大違いだ)
きっと己のマスターはそんな事を口にする事はおろか思う事さえしないだろう。
ほんの少しサイケに羨望を胸に抱きながら、津軽は楽しそうに唄を口にするサイケのそれ耳を澄ませた。