貴殿の傍に・・・
「どうしてだよ、旦那」
旦那の頬に触れると、やはり冷たかった。泣いた形跡もある。真田の旦那が竜の旦那を慕っていることは薄々気付いていた。だが、後を追う必要はあったのかよ。俺は言ったのに。まだ死なせるわけにはいかないって。なのに、なんであの時旦那を止めなかったんだ!クソッ。失ったらもう手にすることはできないと言うことを、俺は知っていたつもりだったんだ。だからあの時俺は旦那を一人で行かせちまった。・・・旦那、すまねぇ。アンタのお館様の上洛の力になる夢、叶えてやる事ができなかった。また会うことがあるなら、出来るとしたら、今度こそアンタの夢を叶えてやるから。それまで、お休み。真田の旦那。竜の旦那と幸せになりな。