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soundless / なにもきこえない

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 いらっとする。しかし血でべたついたその感触もだが、人並みに熱く熱を持て余している手に、何より生理的な拒絶反応があって体が震えた。

 「             」
 そこは、金鳴るノイズが響いているだけの、世界。

 気づいたときには、平和島静雄の足元で、折原臨也は意識を失っていた。
 のたのたと我が身をひと通り確かめてから静雄は煙草に火をつける。
 「うぜー……、ああ、マジでうぜえ……」
 彼はいつもどおりの銘柄なのに、非常に不味い煙草に、苛立ちを隠さなかった。そのうち、騒ぎを聞きつけた野次馬連中の通報だろうが、路地裏に赤色回転灯の光が入り込んできて、足元の一塊を俵抱きにすると、普段からよく知っているその道を走り出す。
 振動が傷に響くだとかは気遣ってやるつもりがない。
 運び屋に連絡してやる義理もなかった。
 ただ、完全に植え付けられた不愉快を取り除かせるために、ちょうど都合のいい闇医者のマンションのドアの前を知っているから、そこに放置してやるだけだ。