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空の境界~未来への軌跡~3

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〜姉妹〜

鮮花が、両儀家にたどり着くとまだ明かりが漏れていた。
そして敷居をまたぐと、黒服の男が出迎えをしてくれた。

「鮮花様、式様がお待ちです。」

そして、居間に通されると

「まあ可愛い。これから式の義妹になるのね。」

式の母親らしい人に言われた。咄嗟に発火させようとしたが、式に機先を制されてしまった。

「鮮花、わざわざ来てくれてすまなかったな。」
「式、どういうこと。」
「どっちから聞きたい?」

少々混乱気味で、何がなにやらわからなかった。

「ま、簡単に言えば「幹也」のプロポーズをオレは受けることにした。」

本気で、「発火」させようとしたら、お兄ちゃんが居間に入ってきた。

「お風呂、お先にいただきました。」
「いえいえお気になさらずに。」
「いえ、ケジメとして、結婚式までは節度を持ちましてお付き合いさせていただきます。」

その言葉に感銘を受けたようで「今時ない、いい男」と写ったらしい。やたら、丁寧口調だ。

「それでは、お先しますはね。式、後のことお願いね。」

そういって居間から出て行った。

「ちょっとお兄ちゃん。どういうこと。」
「そういうこと。後で、ちゃんと父さんや母さんにも話すから。」
「そう言う問題じゃなくて、」

ああどうしよう、頭が真っ白だ。まず何から聞けばいいだろう?
義母が居間を出て行くのを確認すると、幹也は二人に向き直った。

「で、式、鮮花が来たら説明するって言っていた、棟子さんの事話してもらえるんだよね。」
「ああ。そのつもりだ。」
「じゃ、早速教えなさいよう。」

ここまで色々我慢して来た自分が今にも泣きそうなのだ。

「解った。」

そういって、式は鍵をお兄ちゃんに投げてよこした。

「オレも棟子を追おうとしたのだが、魔法に掛りそれができなかった事を弁解させてくれ。」
「それじゃこの鍵は?」
「「合鍵」だそうだ。それと妙な事もいっていた。「下手をしたら、黒桐に殺されるかも知れんからな。」とな。」
「僕に殺される?」
「ああ、あの時「暗示」みたいな魔法のせいで聞けなかったし、お前のことも気になっていて、詳しく聞けなかった。」
「じゃあどこに行ったかまでは、式にも解らないのね。」
「すまんな。」
「うえ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん。」

式が胸に抱きしめ、優しく頭をなでてくれた。
私は、棟子さんみたいに成りたかったのに、棟子さんにこんな形で捨てられるなんて思いもしなかった。
せめて最後に、挨拶のひとつも欲しかった。二人は、私が泣き止むまでずっとそばにいてくれた。そして、式の案内で一緒にお風呂に入り勝手の解らない風呂場でお世話をしてくれた。結局お兄ちゃんと別の部屋だったが、一緒に式の部屋で寝る事になった。
そして、いろんな話をした。かつて、棟子さんからの依頼で一緒に「礼園学院」で一緒の部屋になったとき以上に、お互いの家の事とか親の悪口とか、お互いが溜まっていた「女同士」でしかおそらく解らない話を止め処なく続けていた。
客間で、お兄ちゃんは寝るそうだ。ちなみに秋隆さんが寝ずの番をするとの事だが、明らかに「見張り」だなと思った。式の話では、一週間「あの日、丸一日をどう説明するか?」迷っていたそうだ。幹也も長男だから、家を継がなくちゃいけないだろうし親父にこの事がばれたら、ただ事ではない。「幹也の実家を調べ上げて、殴り込みに行きかねない。」
しかし、あの丸一日ですでに幹也と男と女の関係に成った事も感ずいてしまうだろう事は、目に見えていた。

「そりゃ〜いくら式でも、男の部屋に丸一日も入り浸っていれば、娘持ちの親ならそう考えるはね。」
「確かにな。私の行く先々に秋隆や、親父の手下がすごく下手な変装で待ち構えていたのだからな。」

想像すると笑ってしまう。明らかに周りから浮いていたであろう秋隆さん達を思い浮かべると笑ってしまった。気が少しづつ晴れていきそんな、感じで眠りに入っていった。
次の日、式の大声で目を覚ました。

「幹也がいないとは、どういうことだ。」

幹也は、まだ日も出ないうちに起て身支度を整え道場に上がってから式のお父さんを待っていたらしい。そして、挨拶と会話を交わすと朝食も食べず出て行ったというのだ。
そして、玄関に向かおうとする式を式のお父さんらしい人が呼び止めた。

「その幹也君からの伝言じゃ。「今日は、ちゃんと登校してほしい。ただせさえ、出席日数がギリギリなのだから、学校に通うように。」それと「鮮花は、寮生活しているが朝食時間まで保護者同伴で向かえば問題ないはずですので、「兄嫁」の使いと言うことで車を貸してやっていただけませんか?」ということじゃ。」
「もう結婚した気でいるの、お兄ちゃん。」
「いや、「兄嫁」というのはワシの入れ知恵じゃ。」

この人も式並みに、お兄ちゃんに入れ込んでいることがわかった。


〜後始末〜

結局霞ヶ関での、一騒動が終わる頃心配になった「遠坂凛」達が合流した。ちなみに壊れた公園の設置物は「エミヤ・シロウ」が修繕し、魔法の結界等は「遠坂凛」が処理することになった。
そして、倒れた人間が「警視庁の刑事」であることから、「協会」、「教会」両方から外圧をかけて、「ただの巻き込まれた被害者」として貰う事にした。
ちなみに報告したとき、凛とセシルは

「「協会」or「教会」が悪い。」

とお互いの組織の非難で、閉めくくった。幸い「遠野家」経営している病院が首都圏にあるので、「秋巳大輔」の身柄をそちらに移すことになった。
後は、「遠坂凛」の腕の見せ所である。
そして、昼ころ病院内の談話室は大入り満員状態になった。

「ここまで、人外の者が大人数に成るとある種、「自分が普通」だと誤解しそうになるな。」
「いつまで、士郎の身体を乗っ取っている気ですか「アーチャー」」

凛たちと一緒にセイバーも到着していた。セシルなんかは物珍しそうにセイバーを眺めていた。

「これが、前聖杯戦争の勝者ですか。」

興味津々である。

「志貴が、夜の散歩すっぽかしたから心配したんだよ。」
「何で貴方までいるのですか。」
「レンが連絡してくれた。」
「不覚」

レンはこの上位種の吸血鬼「アルクエイド」の使い魔であるのだから当然である。

「その台詞は、お兄ちゃんを危ない事をさせようとした貴方は絶対いえませんね。」

「遠野家、現当主」遠野秋葉が釘を刺した。遠野秋葉としては、正直親戚連中は嫌いである。自分がまだ十代であることを理由に色々言ってくるのだから、始末が悪い。しかし今回はお兄ちゃんの頼みだから、その親戚筋を頼ることにした。それにこの面子が大問題だ。一見すると、仲良しサークルかなんかと思われがちだがはっきりいって正体は、「混沌」たる面子である。
上位種の吸血鬼*2人?その使い魔*1匹?元ハーフ吸血鬼*1人(確定)英霊*2体(そのうち一体は訳有り)そして、「直死の魔眼」を持つ少年1人、おまけに今処置をしているのが、魔術師なのだから問題である。
いくら組織を言い包めたとはいえ、予断を許せるメンバーたちではなかった。
セシルとしては、何かあったら自分もここら一帯もただではすまない事を認識させられたのだ。

「あの〜すみません?」