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水色サンデー

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「政春!?ちょっと、葉月大丈夫「法崎お前いきなりぶしつけじゃないかそんなことばかりしてい「黙れ県民」

政春の一蹴に頬を押さえて抗議の声をあげていた葉月が、がっくりと地面へ崩れ落ちる。
出た、NGワード、県民。

「県民……!クソ、そうやってどいつもこいつもバカにしくさって……!千葉といえば落花生しかないと思っているんだろうふざけるな千葉にはだな「おら明良帰るぞ!!」

あっさり葉月無敵の長口舌を遮った政春が腕を強く引いた。指先が強く食い込んで痛いくらいだ。

「な、え、だって政春」

先に帰ったんじゃなかったのか。女のコはどうした。
どう考えてもお前のタイプのコが今日だって2校か3校は居たはずだ。いつもバカみたいに追いかけていったじゃないか。
言いたいことは山程あるのに、舌先で縺れてうまくいかない。

「お前どうせ傘持って来てねーと思ってそこのコンビニで買ってきた。俺ら2人じゃ1本におさまんねぇだろ」
「待って政春、でも俺、葉月が」

無理無理開いたビニール傘を押しつけられて、飛び出した雨のなかで引かれた腕だけが濡れていく。了承しかけていた約束を思い出し殴られ損の葉月を振り返ったらまだのの字を書いて蹲っていた。
放っておいて大丈夫なんだろうか。

「いいから帰るぞ!明良、お前もいちいち流されてんじゃねーよ!!」
「わ、わかったから腕、離して」
「あ、悪ぃ」

掴まれた箇所から熱があがって離されても消えない。寂しい気持ちももう消えた。
心のなかで葉月に謝っておいた、今度千葉には落花生だけじゃなくてネズミの国もあるじゃないかと慰めに行こう。
足元でぴしゃりと水溜まりが跳ねる。踏み出した先は虹のふもとだ。
作品名:水色サンデー 作家名:梵ジョー