藍の中に溶ける
「私には兄弟が居るのですが、彼等を置いてはいけません。彼等の居場所と安全を確保して、貴方の戦艦に乗せて頂けませんか、バイルシュミット殿?」
男は目を瞠ると、「どうして・・・」と呟いた。
「お噂はかねがね。御尊顔を拝見したのは流石にこれが初めてですけれどもね。」
「あ~・・・まぁ、俺も中々に有名だからな。」
苦い笑いを零しつつ男、バイルシュミットは菊に向かって手を差し出した。
「その位軽いモンだ。それで優秀な乗り手が手に入るんならな。ようこそパルラへ!歓迎するぜ。」
「えぇ、宜しくお願いします。」
握手を交わし、相手の温度を感じ取った。
菊の運命の歯車が、大きな音を立てて回り始めた。