カテリーナⅡ
8.
まるで、物語の続きを見ているようだった。
「カラマーゾフの兄弟」の著者、フョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキーは、続編を書かずにして亡くなった。
結ばれたイワンとカテリーナ。
脱獄するドミートリイ。そしてそれを支えるグルーシェニカ。
ドミートリイとグルーシェニカは自由を求めてアメリカに移住する。
―――その後の物語。
棚にあるカラマーゾフの兄弟を手にとって、ぱらぱらとページをめくった。
「いつまでもこうやって、一生、手をつないで行きましょう!カラマーゾフ万歳!」
ふうと息を吐いて本を閉じ、棚にしまう。
「僕も恋人作ろうかな・・・」
僕のひとりごとは、きっと誰にも聞かれなかった。
了.