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潰れた苺

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「最初から無いのと途中で無くすの、どっちが辛いと思う?」

買い物から帰ったネロが無表情でそう問いかけたとき、俺は家族のことを思い出
した。



今日は近所のスーパーが安売りらしく、ネロは張りきって買い物に出かけていった。
それは嘘ではなく、実際にネロは両手に大きな紙袋を抱えて帰ってきた。
何か違和感を感じ見ていると、ネロが紙袋をテーブルに置きこちらを見て放った第一声が先ほどの問いだった。
きっと出掛け先でなにかあったのだろう。
ネロは答えを待って静かにこちらを見つめている。
俺は答えを返すためにネロに向かって歩き出した。
先ほどの問いかけに俺が家族を思い出したように、ネロは何を思ったのだろうか。

俺は家族を失ってしまったが思い出がある。
だがこいつにはその家族の思い出すらないのだ。
確かにネロにはお嬢ちゃんやクレドという義理の家族がいた。
でも血の繋がった家族となるとまた違ってくる。
俺も人並みの幸せな人生を生きてきた訳じゃはないが、たぶんこいつもそうなのだろう。
だが俺は途中で無くしてしまったが、最初から無かった方がいいとは思ったことはない。
しかしこれはどちらが辛いとか、どちらがいいとか比べることでは無いだろう。
俺はネロの前に立ち、答えを返すために目を合わせ口を開いた。

「どちらも辛いさ、だが問題はその後だ。どちらが辛いかや自分がどちらかなん
て関係ない、自分がどうするかが大切なんじゃないか?」

結局無難な答えになったが、そう返すとネロは少し俯いてなにやら考え込んだ。
何を考えているのかはわからないが、ネロにとっていい答えが出るといい。
そう思いながら俺はネロを抱きしめた。


作品名:潰れた苺 作家名:みやま