二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

昼白色

INDEX|2ページ/2ページ|

前のページ
 

 今まで幾度となく抑圧してきた邪さがまた焔を上げんとする。政之助は恥じ入るように俯き、少々間を置いてから本題に入った。
「して、今日は如何様で」
「如何様で、ねぇ……」
 鸚鵡返しにする弥一の声に、先程までの軽やかさは無い。急な違和感に政之助が顔を上げると、向かいに座っていたはずの弥一がすぐ隣で構えていた。整った彼の顔が目の前に迫る。肩口を軽い力でとん、と突かれただけなのに、あっけなく畳に寝転がされてしまった。
「おめえさんが欲しいんだが……今は気が乗らねえか」
「……わからないでござる」
「乗らねえ、とは言わねえんだな」
 勝気に出られれば、政之助元来の引っ込み思案が先に立ってしまう。押し黙るっていると、弥一はその気弱さに器用につけ入り、目で制してくるのだ。
 腰紐に手を掛けながら彼が寄越すのは、優しく、それでいて有無を言わさない逼迫した視線。弥一の強気な表情を見ると、優柔不断でうだつの上がらない自分が許容されているような、流されてしまいたいような気分にさせられる。
「好きにさせてもらう。嫌ならいつでも言えばいい」
 それ以上も以下も無い響き。政之助は止めることも進むことも出来ず、ただ戸惑っていた。
 弥一は自らの懐へ手を入れ、もう片方の肩口からも腕を抜く。
 露にされた、儚くしなやかで透き通りそうな上半身。政之助は知らぬ間にその胸元へ掌を寄せていた。
 その白さは、狡かろう……。
 我慢の利かない自分が恥ずかしくて仕方ない。政之助はぎゅっ、と童のように固く目を瞑った。
 この御仁のようでありたい、と、この御仁が欲しい、は同義なのだろうか……などとしゃっちょこばって考えているうちに、気付けばすっかり弥一の中に飲み込まれていたのだった。
作品名:昼白色 作家名:SOW