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大きなシオン ~自分探し・成長編~

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「あんた何様?!自分も好きになって付き合ったんでしょ。彼女から勉強もさせてもらったり、都会での寂しさも彼女がいたから救われたんじゃない?!付き合った女がバカだとか言う男に育てた覚えはないよ!
自分が一度でも好きになった人を侮辱するのは許せない!好きだった。楽しかった。だけど、今はもう好きではなくなった。誠意を持った言葉で話してきちんと別れてきなさい。これからの事はそれからだね!」
今日帰ったらすぐ電話するよう命じられた。
しゅんとしていたら、シオン話題を変えた。ゲームの話とか他愛のない会話。

思いついたようにシオンが言った。
「家にさ、『さっちゃん、嘘ついてごめんね』っていうビデオがあるから観て。安達祐実のドラマ録画。古いからどこかに片付けられちゃったかな~。まあ探してみてよ。」
「安達祐実好きじゃない・・・。」
「あのさぁ~、内容なの。今度面会に来るまでに観てきてね。」
「わかった。探してみるよ。」

「1995」ビデオのラベルにはそう書かれていた。
カテゴリー感動ドキュメンタリー良くありそうなドラマ。
女の子が急に入院する。彼女は不治の病だった。
でも、家族も医者も彼女には告知しない。彼女は医者の言葉を信じ治療を続ける。病状が悪化しても彼女は家族の言葉を信じる。そして最期を迎える。彼女が亡くなってから、両親が彼女は本当の事を知っていながら、周りの人間を悲しませないように、自分に言い聞かせるように「いつか元気になる病気」と戦っていてくれたのではないかと知る。確信はない。でも、親子には感じる事ができる。だから「さっちゃん、うそつてごめんね」というドラマなんだろう。
このドラマいつ頃観たんだろう?
安達祐実とシオンは歳が近い。中学生の頃、部屋で一人で観てたのか?
「入院してから、このドラマに自分を重ねていたのかねぇ・・・。」
一緒に観ていて、最初から泣いていた母親が自分の部屋に駆け込んで行った。

「観たよ。」シオンの病室に入って伝えた。
「どうだった?」
母親の事は言わなかった。なんと答えていいか分からなかった。
俺はシオンの詳しい病名は聞いていない。
重い病気だとは思ったけれど、今のシオンは元気だ。
「夜にね、病室の天井眺めていると色々な事考えるんだよ。ドラマじゃないからシナリオのように言えないけどね。」
俺、泣き出しそうになった。
「違う、違うって!ドラマじゃないから、私はもう少しで退院するし。死なないよ。大丈夫だよ!」
「私が言いたかったのはね、人間いつ死ぬか分からないって事。竜、明日自分が死ぬって言われたらどうする?何を後悔する?何がしたい?
私はね、焼肉いっぱい食べて、モンブラン食べ、てゲームしながらがいいかな?」
「なんだよ~それって女捨てていない?」二人で笑った。
シオンが続けた。
「竜、自分のやりたい事見つけな。学校に行かなくても出来る事はあるはずだよね。
家とは違う自分の居場所のある仕事探さないと。その為に一歩ずつ進もうよ。。
竜は成功体験が無いからね~。
まずはパソコンで取れる資格からチャレンジしたら?
何か一つでも取れたら自信になると思う。次に繋がるよ。
退院したら、私は女磨くから、竜は男磨こうよ。経験豊富な竜に、女の磨き方教わろうかな?竜先生、指導能力に自信ありますか?」
「・・・あんまりない。」
「その、あんまりが駄目なの!でも、まあ、ゆっくり行きますか!」
帰りのバスの中で、シオンはまず髪のカラーリングかな?って思った。

ビジネス検定に合格した。いくつかの資格とった。大学の受験資格もある。
すべて一回の挑戦で合格した事は俺の自信に繋がった。

シオンは髪を栗色に染めた。仕事に復帰すると自分のアパートに戻って行った。


東京のクラブでカクテル作っている。今、色々なカクテル覚える事が楽しい。
まだまだ未熟者だけど、いつか大会にも出てみたい。
株はゆっくり勉強している。

シオンがムーミンみたいな彼氏と店に来た。
ボスに特別な日に出すカクテル訊いた。想いを込めて作った。
ムーミンに、
そしてシオンにグラスを置いた。

なんかすごく幸せな気分だ。