PUPPY LOVE
「いつまで追い回したら気が済むのかって話だよ」
マーモンは一人掛けのソファから立ち上がると、絨毯の上を滑るようにしてリボーンに近づいた。自分より少しばかり背の高い彼の頬に手を伸ばし、触れた。
「昔馴染として言うよ。不毛なことはもう止したら?」
思いがけない人物から思いがけない言葉を聞いて、リボーンはほう、と小さく声を上げた。
「心配してくれるのか」
「バカだね、預金の足しにならないことを僕がすると思う?」
にべもなく答えたのに、リボーンはボルサリーノの下で口許を綻ばせ、こちらの目を覗き込むようにして言った。
「お前からすれば不毛に思えるだろうな」
そうして頬に添えられたマーモンの手に自分の手を重ねて退けると、マーモンの肩越しに見える三人掛けのソファで、ナイフを弄びながら興味津々といった様子でこちらを窺っているベルフェゴールをちらりと見、つと声が漏れない近さに顔を寄せた。
「お前は、お前の正義を守れ」
「……知った風に言わないでくれる?」
握られたままの手を弾くと、ふ、と呆れたように息を吐いた。
「進んで負け戦をするなんてホント、相変わらず難解だよ、君は」
「そうか?案外、単純だぞ」
「それが分からないって言っているんだよ」
「エゴさ」
作品名:PUPPY LOVE 作家名:gen