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「僕、キャベツに戻らなきゃ」

恋人は私に向かって確かにそう言った。
春も半ば、月の明るい夜だった。電気を消した部屋の窓辺に、見慣れた彼の輪郭だけが浮き立っていた。

それから彼は姿を消した。行方が分からなくなったという意味ではない。目の前から物理的に消えた。まばたきをした一瞬に。ビデオテープを無理矢理つなぎ合わせたかのように、跡形もなく。