【ガンダム00】マイスター
「ロックオン!」
呼び止められ、向きなおす。ティエリアは俯いたまま、受け取った紙袋を強く握り締めた。
「僕は……まだマイスターに相応しいだろうか?」
弱弱しい声が室内に響く。ロックオンは真剣な眼差しを向けると、言った。
「お前は今までも、そしてこれからも、ずっと変わらずマイスターだ。それに」
ロックオンは次にはおどけた表情をした。
「俺もな」
手を振り去っていく背をティエリアは不思議な気持ちで見送った。そして渡された紙袋の中身を取り出し、ひとくち口にする。お世辞にも美味しいとは言いかねる味が口内に広がった。きっとロックオン自らが作ったものなのだろう。
口元が少し緩む。
――本当に、人間とは不可思議な生き者だ。
2008.8.17
作品名:【ガンダム00】マイスター 作家名:吉沢ミツグ