藤巻だ、坊主。
足が飲み込まれ沈み潰される。
どこを見れば空があるのか、どこに叫べば声が届くのか。
そんなささいなこともあの時はわからなかった。
体の細胞が酸素を欲しがり対内を圧迫する。
意識が遠のいていくのがわかる。視界には青黒く深い色がゆらつき、助かりたいという思いはそれにかき消された。
こんなんになるんだったら・・・ちゃんと学校行って授業うけてりゃよかったか・・・?
いまさら遅いとでもいうように、水は体を徐々に沈めつぶしていく。
――――――俺はあの時に死んだのか。
いやなほどに人がいる道を、ただ歩いていた。
普通の学生達が彼らの目的地であろう大きい建物に向かって歩いて行く。
それはもう彼らの日常の動きのうちの一つなのだろう。
だがその「普通」の行動は普通とは思えなかった。
なんで俺はこんなところにいるんだ・・・・
二時間ぐらい前だろうか、この大きい道のど真ん中にあおむけでねっ転がっていた。
まだ空は薄暗く、人は誰もいなかったせいか妙に大きい道がさらに大きく見えた。
わけがわからない自分にはとても不快なる大きさで・・・そして、彼は起き上がる。
「なんなんだよ・・・・ここはッ・・・!!!!!」
首元にきつくしめられているネクタイを乱暴にほどき、投げ放った。
すこし体温が高くなっているのか、暑苦しい。
慣れた手つきで片手でボタンを二個はずし走り出した。
誰か、誰かいないかと壮大な大きさの敷地内を走り回る。
30分ぐらい走り続け、足の感覚がおかしくなってきた。
その時――――足が飲み込まれるような錯覚。
わかりたくもないデジャヴが頭をよぎり、どうしようもない気持ち悪さが彼を襲った。
意識はあったが、吐き気と錯覚におそわれそのまま倒れこむ。
そして一時間後――――少しづつ大きくなる小さな声達で目を覚ますと、薄暗かった空は明るくなり、生徒と思われる者たちが歩いていた。
そして今に至る。
とにかくあそこへ行けば何かわかるはずだ、と。
しかしその考えはさらに自分の頭を悩ませることになった。
職員室に入り、人の良さそうな大人にことを聞こうとしたその時・・・
「藤巻じゃないか、もう授業は始ってるだろう。何をやってるんだ。」
後ろの机に座っていた教師らしきものにそう言われた。
『藤巻』
そう呼ばれたとき、ゾッとした。
なんで、赤の他人が、俺の知らないやつが俺の名前を知っている?
自分の生徒だというような態度をとる教師に混乱する目を向ける。
「すんません・・・俺のクラスってどこっすか・・・?」
「おいおい・・・大丈夫か?もっとアホになったか?」
半笑いでバカにされ、クラスを教えてもらう。
・・・・・・・・・自分のクラスもわからねぇのはアホだよなァ。
そんなことを思いながらも、クラスと思われる部屋に入る。
「なんだ藤巻、まーた遅刻か?」
「すんません・・・」
こいつもかよ・・・・気持ち悪ィ・・・!!!
しかも生徒たちはクスクス笑い、いかにも自分のクラスメートが遅刻してきたような反応をとる。
何もかもが気持ち悪ィ・・・・・・。
あまりの不快な場、その場から無意識のうちに逃げ出していた。
何か・・・・何か・・・!!!この状況を説明してくれ!!!!!!!!
固い孤独を突き付けられた彼は走り続けた。
強く目を縛り、流れようとするものを抑え込む。
その時、彼にとっての神に出会うことになる。
ドンッ
物にあたるとは違う感触。
やわらかい。
先ほどの者たちとは違うぬくもりが伝わる。
縛ったはずの目は緩く開き・・・・ポロっと涙がでてきた。
「わっ!どうしたのっ??」
小さい少年が驚いた眼で、本当の俺を見てくれた。
どこを見れば空があるのか、どこに叫べば声が届くのか。
そんなささいなこともあの時はわからなかった。
体の細胞が酸素を欲しがり対内を圧迫する。
意識が遠のいていくのがわかる。視界には青黒く深い色がゆらつき、助かりたいという思いはそれにかき消された。
こんなんになるんだったら・・・ちゃんと学校行って授業うけてりゃよかったか・・・?
いまさら遅いとでもいうように、水は体を徐々に沈めつぶしていく。
――――――俺はあの時に死んだのか。
いやなほどに人がいる道を、ただ歩いていた。
普通の学生達が彼らの目的地であろう大きい建物に向かって歩いて行く。
それはもう彼らの日常の動きのうちの一つなのだろう。
だがその「普通」の行動は普通とは思えなかった。
なんで俺はこんなところにいるんだ・・・・
二時間ぐらい前だろうか、この大きい道のど真ん中にあおむけでねっ転がっていた。
まだ空は薄暗く、人は誰もいなかったせいか妙に大きい道がさらに大きく見えた。
わけがわからない自分にはとても不快なる大きさで・・・そして、彼は起き上がる。
「なんなんだよ・・・・ここはッ・・・!!!!!」
首元にきつくしめられているネクタイを乱暴にほどき、投げ放った。
すこし体温が高くなっているのか、暑苦しい。
慣れた手つきで片手でボタンを二個はずし走り出した。
誰か、誰かいないかと壮大な大きさの敷地内を走り回る。
30分ぐらい走り続け、足の感覚がおかしくなってきた。
その時――――足が飲み込まれるような錯覚。
わかりたくもないデジャヴが頭をよぎり、どうしようもない気持ち悪さが彼を襲った。
意識はあったが、吐き気と錯覚におそわれそのまま倒れこむ。
そして一時間後――――少しづつ大きくなる小さな声達で目を覚ますと、薄暗かった空は明るくなり、生徒と思われる者たちが歩いていた。
そして今に至る。
とにかくあそこへ行けば何かわかるはずだ、と。
しかしその考えはさらに自分の頭を悩ませることになった。
職員室に入り、人の良さそうな大人にことを聞こうとしたその時・・・
「藤巻じゃないか、もう授業は始ってるだろう。何をやってるんだ。」
後ろの机に座っていた教師らしきものにそう言われた。
『藤巻』
そう呼ばれたとき、ゾッとした。
なんで、赤の他人が、俺の知らないやつが俺の名前を知っている?
自分の生徒だというような態度をとる教師に混乱する目を向ける。
「すんません・・・俺のクラスってどこっすか・・・?」
「おいおい・・・大丈夫か?もっとアホになったか?」
半笑いでバカにされ、クラスを教えてもらう。
・・・・・・・・・自分のクラスもわからねぇのはアホだよなァ。
そんなことを思いながらも、クラスと思われる部屋に入る。
「なんだ藤巻、まーた遅刻か?」
「すんません・・・」
こいつもかよ・・・・気持ち悪ィ・・・!!!
しかも生徒たちはクスクス笑い、いかにも自分のクラスメートが遅刻してきたような反応をとる。
何もかもが気持ち悪ィ・・・・・・。
あまりの不快な場、その場から無意識のうちに逃げ出していた。
何か・・・・何か・・・!!!この状況を説明してくれ!!!!!!!!
固い孤独を突き付けられた彼は走り続けた。
強く目を縛り、流れようとするものを抑え込む。
その時、彼にとっての神に出会うことになる。
ドンッ
物にあたるとは違う感触。
やわらかい。
先ほどの者たちとは違うぬくもりが伝わる。
縛ったはずの目は緩く開き・・・・ポロっと涙がでてきた。
「わっ!どうしたのっ??」
小さい少年が驚いた眼で、本当の俺を見てくれた。