【ガンダム00】下弦
初めから想定できたはずだ。
こんなこと。
目の前でじっと考え込んでいる男の後姿を見つつ、ティエリアは心の中で毒吐いた。
男の視線先のモニターには、昨日行われたソレスタルビーイングの武力介入のニュースが流れていた。出演者の政治的コメントや矛盾した行為への批判に重なり、現場で撮影された映像が淡々と流されている。もちろん共同前線を組んだロックオンのデュナメス、ティエリアのヴァーチェも映されていた。しかし問題はそこではなかった。
異変に気づいたのは介入後直ぐだった。人革連のモビルスーツの動きがいつもより無骨で甘いと感じたのは、ティエリアだけではなかっただろう。順応性も悪く、ヴァーチェのGNバズーカ一発で前線はあっけなく崩れていった。今回は予定よりも早く切り上げられそうだ、そうプトレマイオスの誰もが思っていた。
だが実際は違った。散らばったモビルスーツ群は撤退するどころか、ガンダムに特攻を仕掛けて来たのだ。より早く敵の意図を察知したのは、やはりスメラギだった。
「気をつけて。ガンダムを巻き込んで自爆するつもりよ」
緊迫した声が操縦者二人に告げた。
初めから対ガンダム用に配備されていたのだろう。恐れを知らず向かって来る目標に、二人は焦りを感じずにはいられなかった。爆破威力は図りきれず、いくら装備が優れているからといっても、闇雲に受け入れることはできなかった。
「本当に困った子たちだ!」
ロックオンは機内で叫びつつ、目前のモビルスーツを撃ち落としていった。次々に炎を上げて残骸が地面へ叩きつけられていく。いつもなら心を痛めるその場面にも、今回ばかりはそんな余裕はなかった。
そして残る最後の一機。空戦で量産機がガンダムに敵う筈もない。相手の気迫に圧倒されつつも、デュナメスは目標の頭部と半身を狙い撃つことに成功した。焼けた音を立てモビルスーツが機動力をなくす。ロックオンが胸を撫で下ろした束の間、それは起きた。
搭乗席が開き中から操縦者が出てきた。そして姿を現したその人物は、狂ったように叫びだした。
「我が国万歳!我が国の栄光を称えよ!」
そして自爆した。
操縦者は10も満たない幼い少年だった。
いつの間にかモニターの電源は落とされていた。振り返ると、ティエリアがロックオンを見つめていた。
「そんなに俺たちの失態を見るのは楽しいか」
こんなこと。
目の前でじっと考え込んでいる男の後姿を見つつ、ティエリアは心の中で毒吐いた。
男の視線先のモニターには、昨日行われたソレスタルビーイングの武力介入のニュースが流れていた。出演者の政治的コメントや矛盾した行為への批判に重なり、現場で撮影された映像が淡々と流されている。もちろん共同前線を組んだロックオンのデュナメス、ティエリアのヴァーチェも映されていた。しかし問題はそこではなかった。
異変に気づいたのは介入後直ぐだった。人革連のモビルスーツの動きがいつもより無骨で甘いと感じたのは、ティエリアだけではなかっただろう。順応性も悪く、ヴァーチェのGNバズーカ一発で前線はあっけなく崩れていった。今回は予定よりも早く切り上げられそうだ、そうプトレマイオスの誰もが思っていた。
だが実際は違った。散らばったモビルスーツ群は撤退するどころか、ガンダムに特攻を仕掛けて来たのだ。より早く敵の意図を察知したのは、やはりスメラギだった。
「気をつけて。ガンダムを巻き込んで自爆するつもりよ」
緊迫した声が操縦者二人に告げた。
初めから対ガンダム用に配備されていたのだろう。恐れを知らず向かって来る目標に、二人は焦りを感じずにはいられなかった。爆破威力は図りきれず、いくら装備が優れているからといっても、闇雲に受け入れることはできなかった。
「本当に困った子たちだ!」
ロックオンは機内で叫びつつ、目前のモビルスーツを撃ち落としていった。次々に炎を上げて残骸が地面へ叩きつけられていく。いつもなら心を痛めるその場面にも、今回ばかりはそんな余裕はなかった。
そして残る最後の一機。空戦で量産機がガンダムに敵う筈もない。相手の気迫に圧倒されつつも、デュナメスは目標の頭部と半身を狙い撃つことに成功した。焼けた音を立てモビルスーツが機動力をなくす。ロックオンが胸を撫で下ろした束の間、それは起きた。
搭乗席が開き中から操縦者が出てきた。そして姿を現したその人物は、狂ったように叫びだした。
「我が国万歳!我が国の栄光を称えよ!」
そして自爆した。
操縦者は10も満たない幼い少年だった。
いつの間にかモニターの電源は落とされていた。振り返ると、ティエリアがロックオンを見つめていた。
「そんなに俺たちの失態を見るのは楽しいか」
作品名:【ガンダム00】下弦 作家名:吉沢ミツグ