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臨帝小ネタ集:11/11追加

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名前



「みかど」
 薄く形良い唇から零れた音に、帝人は思わず体を硬直させる。そんな帝人の様子を気にかけることもなく、臨也はカタカタとキーボードを叩きながら言葉を続けた。
「改めて意識するとやっぱりすごい名前だよねぇ」
「……はぁ」
 そうしてまた、自分の名を形づくる音だけがぽろりと漏れる。みかど。ざあっと血の上る感覚。腰かけたソファの上で身を硬くし、熱を持ち始めた頬を隠すように顔を俯かせる。
「僕の名前が、何か?」
「んー。いや、すごいなって」
「人のこと言えないと思いますが」
「まあそうだけど、でもインパクトが違うよ。だってみかどだよみかど。その上、苗字はりゅうがみね、って。いっそ凄まじいよね」
「もしかして馬鹿にされてるんでしょうか」
「えっなんで」
 その返答に、なんでもないですとだけ返して会話を切る。ふと息を吐けば、顔に集まった熱も一緒に抜けていく気がした。それでも、耳の奥には臨也の声が張り付いている。遮るものなど何もない、どこまでも続く青い空のような美しく胸を締め付ける声が発した自分の名前。みかど。思い出した途端にぞくりと背が震える。いつだって案外丁寧に言葉を遣う彼のそれが乱れるのは、帝人が知っている限りでは─────

「帝人君」
 甘く透き通った、そのくせどこか冷たさも感じる声。臨也の声。
「いやらしい顔してる」
 何を考えているんだか。簡単に人を誘って誑かして堕として笑う声に思考を溶かされてうまく反論できない。気を取り直すべく深く深く吐いた息は、頬の熱がそのまま乗り移ったかのように、熱かった。

作品名:臨帝小ネタ集:11/11追加 作家名:ゆずき