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闇からの脱出

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 何をされるのだろうかとオニオンナイトの胸中は不安だった、
光の戦士と皇帝の間で交わされた約束事で手は出さない事にはなっているが相手はあの皇帝。
その約束をちゃんと守るのかどうか怪しい。イミテーションが立ち止まり、オニオンナイトも立ち止まった。
 イミテーションが目の前の扉をノックする。
「入れ」
 皇帝の声が扉の向こうから聞こえ、イミテーションが扉を開けてくれた。
オニオンナイトは小さく深呼吸して部屋の中に入る。中に入ったオニオンナイトは後ろ姿の皇帝を見つけた、
マントに貼りついている顔がこちらを睨み付けている。皇帝はゆっくりと振り返る、
その足元にオニオンナイトは目を見開く。
「ライトさん!?」
 光の戦士が倒れ伏していた。ホライゾンブルーの髪の先が若干、赤くなっている。
「余程、お前の事が大切らしい。自らこちらを選んだぞ」
 皇帝が愉しげに言ってのける、オニオンナイトは痛みを堪える表情をして皇帝を見る。
「お前を呼んだのは他ではない、この光の戦士の処遇についてだ」
「…どういう、意味?」
 話に食い付いた、ヴァイオレットの瞳が目を細める。
「貴様の選択次第で光の戦士を助けてやらんでもない」
「え……」
 オニオンナイトは倒れ伏している光の戦士に目を向ける、光の戦士は気を失っているのかぴくりとも動かない。
「私に忠誠を誓え、そうすれば光の戦士を解放してやろう。どうだ、悪い話ではなかろう?」
 皇帝の言葉は信じてはならない、なのにその提案が最良の様に聞こえる。
「断ればまたこの様な事が繰り返されるだけだ。ああ、また傷付くな戦士としての誇りも彼自身も」
 皇帝が更に言葉を募らせ追い詰める、オニオンナイトはぎゅっと手を握り締めて目も固く瞑る。
瞼の裏に浮かぶのは小さく笑む光の戦士、その光の戦士が皇帝に組み敷かれている姿。
これ以上、あの人が傷付いていくのを黙って見ていられない。
 その原因が自分ならばその原因を取り除けば良い。麻痺した頭が導いた答えにオニオンナイトは委ねる。
(ごめんなさい、ライトさん)
 オニオンナイトは心中で詫び、口を開いて一つ息を吸い込み――。
「がっ、ぁ!?」
 突然の皇帝の声にオニオンナイトは目を開き、吐き出そうとした声と共に息を呑む。
 皇帝の背後から光の戦士が刃で脇腹を貫いていた。
武器は全て取り上げられている筈なのに皇帝の脇腹を貫いていたのは真紅の光の刃、
光の戦士の技の一つレディアントソードの刃だった。光の戦士は無言で肩で息をしながら皇帝を睨み付けている。
「き、貴様…」
 口の端から血を流し、皇帝が膝をつく。同時に光の戦士の手からレディアントソードが消し、
光の戦士は無手で地面を撫でる様に振り抜く。
「…疾走れ!光よ!!」
 手より放たれた光はオニオンナイトの横を通り過ぎ、後ろ扉を砕く。
通り過ぎた光を追い掛ける様に振り返ったオニオンナイトは強く手を引かれた。
呆けているオニオンナイトの手を掴んで光の戦士は出口へ走り出していた。
作品名:闇からの脱出 作家名:弥栄織恵